資源やエネルギーの大量消費によって、大気中に二酸化炭素など温室効果ガスが増え、地球の熱が宇宙に逃げにくくなり、気温が上昇する温暖化が心配されています。このままでは21世紀末までに平均気温が今より約3℃上がり、生物や農作物への影響や海水の膨張、氷の融解による海面の上昇で陸地の水没などの被害が予測されています。

海難事故による油の流出、プラスチックや発泡スチロールなどのゴミ、そして有害化物質による海洋汚染が進んでいます。北海で死んだアザラシから、PCBや水銀、カドミウムなど150種類もの有害物質が検出されたこともあります。雨は大気の汚れを、川は陸の汚れを海にもたらし、海に住む生物の命と漁業を通じて人間の食生活をもおびやかしています。

二酸化炭素を吸収して、酸素を作る重要な働きをし、気候を安定させる役目を果たしている熱帯林が開発、焼き畑、木材の伐採などで、どんどん減っています。世界の野生生物種の約半数が生息している熱帯林の減少はそのまま野生生物の減少にもつながり、1981年から90年では、毎年約1540万ha、日本の約4割の広さの熱帯林がなくなってしまいました。

急激な工業化に対する公害防止対策の遅れ、都市への人口集中などが深刻な大気汚染、水質汚濁などを引きおこし、開発途上国を中心に多くの国で、人々の生活をおびやかしています。

太陽からの有害な紫外線を吸収して生物を守ってくれるオゾン層が地球をおおっています。これを人間の作ったフロン、ハロンなどの化学物質が壊しており、このためオゾン層が薄くなって、地上に届く紫外線が増えると皮膚ガンや白内障の増加、また農作物への悪影響など、さまざまな被害が予想されています。

工場からのばい煙や車の排気ガスに含まれている硫黄酸化物や窒素酸化物が原因で、強い酸性の雨が降っています。これによって森林が枯れ、湖沼の生物が死滅、建物や遺跡の腐食などの被害が出ており、これらの汚染物質は気流に乗って遠くまで運ばれるため、被害は広範囲に及びます。

気候の変化や過剰な家畜の放牧、樹木の伐採などが原因で、土地が砂漠のようにやせた状態になる砂漠化が、地球上の全陸地の約4分の1(約36億ha)の地域で進んでいます。

人間による開発や環境汚染からの生息環境の破壊、乱獲などによって、このままでは2000年までに毎年約4万種の生物が絶滅の危機に瀕しています。

工場などから出る有害な廃棄物は責任を持ってきちんと処理するのが当然なのですが、量が多すぎる、費用が高いなどの理由で、国内で処理しきれず、国外へ移動することがあります。ところが移動先での処理不十分や不法投棄によって深刻な環境汚染を引きおこすことがたびたびあります。