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【今後の援助に対する検討事項】
 本年度も中央アフリカ共和国のパタセ大統領からは永年継続されている笹川記念保健協力財団の医療援助に対する感謝の意が表された。また保健省関係者も会談の折に1975年以来継続されている笹川記念保健協力財団の医療援助に対して感謝の意が表され、これまでに供与した器材が多くの病院で大いに役立っている旨報告された。特に政情不安と云われている現在でも毎年続けて調査団が現地に赴いて検診を実施していることは中央アフリカ政府で高く評価され、また感謝された。本年度も日本からの電話連絡のみで依頼したにも拘らず保健省の車両の手配を始め日本に留学した経験のあるヤヤ医師が調査団滞在中はカウンターパートとして行動を共にするように配慮がなされ、また首都圏から出るときに必要な公用の通行許可証もヤシポ地方医務局長が日曜日であったにも拘わらず我々の現地到着後直ちに準備してくれるなど、本プロジェクトが中央アフリカ共和国にとって如何に重要な位置を占めているかを再認識することが出来た。なおバンギー大学医学部で辻が学位審査を依頼されるなど医療協力のみならず医学教育にも参加したことは今後の両国の協力関係が深く結びつくものだと思われる。政情は調査団が出かけた時には地方は落ち着いていたが、広島大学に留学したコバンゲ医師が去る5月の内戦の折にヤコマ族と云うことで追放されたようで、日本大使館からの情報によると現在は隣国のコンゴ民主共和国(旧サイール)の難民集落にいて医療行為をしているとのことである。なお2002年2月の高倍大使からの電話では、中央アフリカ共和国の政情は安定しつつあり、現在はパタセ大統領がブエラブの部落に入って視察が出来るほどに落ち着いているとのことで、今後の医療協力の遂行には問題がないものと思われる。同国の方針として医療保健対策が重要視されているので中央アフリカ共和国に対する援助の継続が好ましいと判断される。
 中央アフリカ共和国の経済状態をみると、笹川記念保健協力財団が行っている寄生虫症対策プロジェクトを同国のみで遂行することは未だ困難であると云わざるを得ないが、現場で医療業務に携わっている医師、看護士、検査技師などが可なりその技術を身につけているので、近い将来に同国のみでの保健衛生対策が確立されることを期待したい。それまでは中央アフリカ共和国に対する援助の継続は必要であり、また好ましいと判断される。
 またいつものことであるが、在バンギー日本大使館員の方々も我々の調査団が中央アフリカ共和国で行っている仕事が現地で高く評価されていることを周知しておられ、中央アフリカ共和国に対する医療援助の継続を強く希望しておられた。今回の調査に関しても高倍大使のご配慮で別送荷物を日本大使館で受領し、青山医務官が保管して下さるなど大使を始め大使館員の方々に多くのお力添えを戴いた。
 中央アフリカ共和国の政情は殆ど安定しており、中央アフリカ共和国政府としては特に保健省を中心に常に笹川記念保健協力財団に対する配慮がなされている。来年度は雨季の明ける前の8月頃に調査団の派遣を行えば水の心配がなく、本年度と同様にケラ・セルジャン村での検診も出来るものと思われる。また日本政府の援助で行われているブアールまでの縦断道路建設も鹿島グループが継続しており、ケラ・セルジャン村までの行程も少しづつ良くなっている。
 毎年述べていることであるが、中央アフリカ共和国における笹川記念保健協力財団の医療協力計画が占める位置は大きく、その継続が強く望まれている。また先にも述べたごとく在中央アフリカ共和国の高倍特命全権大使始め青山医務官など現地日本大使館の館員の方々も医療面における本財団の援助および調査団の業績を評価され、大きな期待を寄せられている。








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