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編集後記
 四月八日、日本民藝館の平成改修竣工を祝う式典が挙行されました。一般には釈迦の誕生を祝う潅仏会の花祭りの日に当たります。
 天候は晴。陽に輝くあかがね(銅)の樋を鉢巻として、背筋を伸ばして凛と立つ風情の本館花水木が美しい並木立を隔てて、西館は新調の大谷石の大瓦が薄緑黄色に映えて、「改修工事」が見えます。この日は午後二時と八時の二度にわたり、あわせて三百名の方々に御出席いただきました。圧巻は目出たい時の木遣り歌で祝宴がはじまったことです。もともとは木石を運んだ労働歌が長い歳月を経て洗練され、長々と合の手や詞をのばす独特の節回しの祝歌であります。木遣節、纏はらい、展示陳列の絶妙な結合が祝宴の気を盛り上げ、職員一同の心を込めた接待でご出席の方々は良い印象を持ち帰られたと思います。
 四月二十七日からは初の試みとして、西館で民藝派陶芸の四人展が開催されます。
 民藝運動の発進地として館、協会員が連携を深め努力していきます。
(福本)
 今号は、五月末から開催の横浜そごう美術館の日本民藝館所蔵品による李朝展にあわせ、同館学芸員の森谷美保さんに御執筆戴きました。同館では二〇〇〇年五月に「富本憲吉展」を開催し、森谷さんはその御担当でもありました。富本展は「模様」をテーマにデザイナーとしての富本に焦点をあてた、とても興味深く、面白い展覧会でした。
 今回はサッカーのW杯にあわせて、以前からぜひやりたいと思われていた李朝展が、実現したのだそうです。
(横須賀)
 改修工事を終えた日本民藝館を、誌上でご披露致しました四月初旬、展示替えの終わった展示室を急いで撮影・お天気にも恵まれて晴天の下に本館・西館の外観を撮影出来たことは幸いでした。グラフ写真は、毎回お世話になっている田中俊司氏と、建築写真ご専門のカメラマン荒井政夫氏が撮影したものです。グラフでは西館の後ろに立つ東大施設があまり入らないようにレイアウトされていますが、実際の景観は本文二頁写真の通りです。実に対照的な光景に、現代の縮図を感じます。
(篠崎)








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