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Explanation(曲目紹介)
新日本フィルハーモニー交響楽団
■ ウェーバー
歌劇「魔弾の射手」序曲
 ウェーバーは、ドイツ国民歌劇の創始者として知られています。19世紀初めというと、モーツァルトはすでになく、べートーヴェンが精力的に創作活動をしていた頃ですが、当時のヨーロッパでは、オペラといえばイタリア・オペラの勢力が圧倒的に強かったのでした。モーツァルトがいるではないかと思われる方もいらっしゃるでしょうし、ハイドンもかなり歌劇を作っており、わずか1曲ですがべートーヴェンも傑作「フィデリオ」を残していますが、それらの多くはイタリア・オペラの影響を直接にこうむったものですし、そうでなくとも題材が外国のもの、あるいは異国趣味によっている点で、純粋にドイツ的な表現ではないと考えられたのでした。
ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」がベルリンで初演されたのは1821年ですから、べートーヴェンの「フィデリオ」の初演から16年後ということになりますが、この作品は圧倒的な成功をおさめ、ドイツの土壌から生まれた初のオペラとして高く評価されました。
 今日の我々の耳には、このメルヘン・オペラは、いささか素朴にすぎる感じがあって、事実有名なわりにはドイツ・オーストリアのオペラ・ハウスでも上演される回数は少ないのですが、当時の聴衆にとっては物語の舞台の設定といい、多少保守的ながら文句なしに美しい音楽といい、ドイツの伝統的な歌芝居のスタイルで書かれていることとあわせて、これこそ我等のオペラという実感を抱いたに違いありません。
 ところで、ウェーバーの歌劇は「魔弾の射手」を例外として、今日ほとんど上演されませんが、いくつかの作品はその序曲で知られています。
 序曲の名手などというのがあるとしたら、ウェーバーは正にそうした人で、歌劇「オベロン」序曲、歌劇「オイリアンテ」序曲、歌劇「アブ・ハッサン」序曲などは、オーケストラの演奏会でしばしば聴くことができます。そして、これら序曲の中でも、とりわけ広く親しまれているのが、歌劇「魔弾の射手」序曲で、オペラの雰囲気を存分に盛り込みながら、長大な曲を通じて素晴らしい音楽的高揚感を作り出し、また華々しい演奏効果もあわせもつ傑作ということができましょう。
 
■ グリーグ
ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
 グリーグはノルウェーのベルゲンで生まれ幼少の頃よりピアニストであった母から音楽教育を受けて才能をあらわしていました。15才のとき人の推めによりライプチヒの音楽院に入学し、19才で卒業してからは作曲家として、またピアニストとして活躍しますが、20才の春にデンマークの首都コペンハーゲンに行き、ここでスカンディナビア楽派の先導者ニールズ・ガーテと知り合い、大きな影響を受けました。いわゆる国民的芸術を作ることを目指して進むことになるのであります。
 その作品はあらゆる分野にわたっておりますが、その器楽曲はまことに有名であります。とくに秀れた歌手であったニーナ夫人の助力で作られたたくさんな歌曲は、国民的音楽に価値高きものであります。曲は、
第1楽章 アレグロ・モルト・モデラート イ短調4/4拍子
第2楽章 アダージョ ニ長調3/8拍子
第3楽章 アレグロ・モデラート・モルト・マルカート イ短調2/4拍子
で始まり、いろいろ展開、再現、転調の後アンダンテ・マエヌトーソの4/4拍子で壮大に終わります。








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