序 調査研究の目的と方法
1 調査研究の目的
21世紀を迎えて、国では平成12年に循環型社会構築の基本となる「循環型社会形成推進基本法」を制定し、これまでの廃棄物処理という観点から循環型社会の構築へと方向性を明確にしている。
家庭ごみに関して循環型のシステムを構築していく主体は、住民に密着した基礎的自治体である市町村である。これを構築するためには、従来型のように市町村が一方的にごみの処理を担うのではなく、市民・事業者・行政が各々の役割と責任を分担し、三者の協同による対応が必要である。そのためには、市民のライフスタイルを発生抑制型にシフトすることで発生を抑制しつつ、発生した不用物はできるだけ地域(松山市または周辺自治体を含む広域圏)などで処理を行う、地域完結型リサイクルシステムの構築が求められている。
さて、松山市では、昭和39年にガラスと鉄くずの拠点回収(街々にドラム缶を設置して回収)を、昭和46年からはステーション方式による資源分別収集を開始している。資源分別収集を実施している自治体は当時ではほとんどなく、松山市の取り組みは全国に先駆けたものであった。その後、昭和51年には、プラスチック製品、段ボール、新聞紙等の収集も開始し、平成9年より金物・ガラス類、プラスチック類、紙類の3分別に変更するなど、早い段階から資源分別収集に取り組んできた。
この結果、平成8年度のリサイクル率は、愛媛県が8.2%、全国平均は10.3%であるのに対して、松山市の平成12年度のリサイクル率は14.8%であり、愛媛県及び全国平均を大幅に上回っている。
しかしながら、「えひめ循環型社会推進計画」による平成16年度のリサイクル率の目標は18.4%であり、この目標は達成されていない。この目標に向けては、事業系については事業者の自主的な取り組みを促進するとともに、家庭系では生ごみ、古布、剪定枝、食用廃油などの新たなリサイクルに取り組む必要があり、本調査研究では、家庭系についてリサイクルの可能性を検討することを目的とする。ただし、生ごみについては、えひめエコタウンプランにおいて検討がなされているため調査対象から除外する。また、古布については、回収を進めても需要がないことから、調査対象とするがリサイクルシステムの検討は行わないものとする。そのため、リサイクルシステムの検討は、食用廃油と剪定枝を対象とする。