(1) 市民参画のまちづくりをすすめる検討会(行政職員のみで構成)
〜市民と行政のパートナーシップ構築のための行政改革組織〜
草津市パートナーシップまちづくりを推進するために、庁内推進体制の整備を図り、その取組方策の調査研究を行うとともに、具体策を提案することを目的として、平成12年9月に「市民参画のまちづくりをすすめる検討会」(以下、「検討会」という)を設置(期間は平成14(2002)年3月末まで)。庁内主要部課から21名で構成。「検討会」には、「市民と行政のコミュニケーションをすすめる部会」、「市民と協働をすすめる部会」、「市民活動を支援する部会」、「あったか部会」を設け、市民への情報受発信手法の検討や、パートナーシップ関連事業の洗い出しと現状の問題点・課題の抽出、モデル事業の検討、職員の意識啓発方法などについて検討を進めている(図表1)。
また「あったか部会」では、平成4(1992)年の新庁舎完成を契機に、市のイメージアップを図ることを目的として、市役所の組織機構や職員の活性化を推進してきた「あったか市役所」の理念などの再構築を行っている(図表2)。「検討会」の成果は、各部毎に設置されている「あったか委員会」(「あったか市役所21」の実践、点検、評価組織)と連携を図り、全庁的な取組に進展させる仕組みとなっている。
図表1 「市民参画のまちづくりをすすめる検討会」の構成と検討内容
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図表2 「あったか市役所21」の構成
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資料:草津市企画部パートナーシップ推進課
(2) 草津市パートナーシップまちづくり研究会(学識経験者、市民活動者、行政職員などで構成)
〜市民と行政の協働作業によるパートナーシップ指針の策定〜
市民と行政の協働によるパートナーシップによるまちづくりのあり方や、進め方について、具体的な調査研究を行うために、学識経験者、まちづくり市民活動者、行政職員などにより、「草津市パートナーシップまちづくり研究会」(以下「研究会」という)を、平成12年7月に設置。市民活動団体へのアンケートや活動事例の研究などから平成13年3月に提言をとりまとめた(図表3)。
図表3 草津市パートナーシップまちづくり研究会提言の体系
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資料:「草津市パートナーシップまちづくり研究会からの提言」(平成13年3月)草津市
(3) 「草津まちづくり市民会議」(市内在住、在勤、在学市民及び市内の市民活動者で構成)
〜市民による研究会提言の施策化を検討する市民会議の発足〜
「草津まちづくり市民会議」(以下、「会議」という)は、「研究会」の提言を受けて平成13年度に発足した。市民に広く参加を呼びかけ、研究会提言の施策化やパートナーシップの基本日標などの検討や学習会、交流会などを通じて、市民と行政が共に学びながらパートナーシップを確立し、協働で今後の草津市のまちづくりのあり方や基本方針となる「(仮称)草津あったか宣言」(以下「宣言」という)を起草することを目標として、現在活動を展開中である。
■ 事例から得られた示唆
(1) 行政改革の一環としての取組が必要
「検討会」は、市民参画のまちづくりを個別部署の施策としてとらえずに庁内横断組織を編成し、平成4年の新庁舎完成時から推進している行政機構及び職員意識改革活動「あったか市役所21」との連携を図り、各部にある「あったか委員会」を通じて全庁的な取組に活動が展開する仕組みとなっており、一連の行政改革の流れの中に位置付けられている。
地方分権の進展とともに、自立性の高い、個性豊かな市民社会の創出が求められる中で、市民参加による協働のまちづくりは喫緊の課題であり、市民と行政両者の意識・行動改革が不可欠である。その具体的かつ効果的な展開を推進するためには、行政側は、個別部署による対症療法的な対応ではなく、全庁的な職員意識改革や事務事業の見直し、機構改革などの行政改革の一環としての取組が望ましい。
(2) 活動の継続・発展的な展開が期待できるストーリーが必要
行政職員による「検討会」で市民とのパートナーシップ確立に向けて、これまでの施策の検証と庁内の意識・組織改革を行い、両輪で学識経験者や市民活動者、行政による「研究会」を立ち上げ、その提言に基づき市民会議を発足し、市民と協働で提言内容の検証と施策化の検討を行い、協働のまちづくりの基本方針となる「宣言」の起草へ----。一連の流れに共通していることは、個々の会組織の活動目的と対象者が明確であること、その成果に必ず次のアクションプランが仕組まれていること、研究・検討活動に活動の担い手(当事者)が関わっており、プロジェクト終了後も自身の活動に反映できる仕掛けとなっていることなどが特徴として挙げられる。ビジョン構築から実現化に向けての継続・発展のストーリーが不可欠
である。
(3) まちづくりのシーズや再発見を軸に、息の長い取組が必要
草津市の市民と行政による協働のまちづくりの取組は、今回取りあげた「検討会」がはじまりではなく、既に、(財)草津市コミュニティ事業団による「パートナーシップでいこう講座」をはじめ、市民の自主運営(公設民営)による草津コミュニティ支援センターによる市民活動支援や、地域ぐるみで生涯教育に取り組む「地域協働合校」、学区単位でのまちづくり活動など、個別の組織・団体による市民活動や活動支援の実績があり、「検討会」でも既存の活動施策や組織の棚卸しから着手している。
「検討会」や「市民会議」を通じて、既存資源の再認識と検証や、ネットワーク化による相乗効果、意識改革の裾野の拡がりと底上げ、協働によるまちづくりの定着などが期待されるが、これは一朝一夕で結実するものではない。真のパートナーシップによるまちづくりの実現には、「協働」という言葉が一般化する前から地域で既に実践されている活動や担い手、歴史などの既存資源の洗い出しと共に、計画性、戦略性をもった息の長い取組が必要である。