第3章 若者定着の全国動向と施策体系
人口移動の全国的な動向及びUJIターン希望者の意識や定着ニーズを、既存の統計資料分析などから把握するとともに、国及び全国地方団体のUJIターン施策や過疎対策などから若者定着施策の考え方と枠組み、支援制度などを整理し、本市の若者定着の可能性と課題を明らかにした。
1 若者の地方からの流出動向
総務省「住民基本台帳移動報告」をもとに、三大都市圏及び都道府県別の転入出状況などから人口移動の全国動向を把握した。
(1) 人口移動の動向
●全国的(都道府県内、都道府県間共)に減少傾向
「住民基本台帳人口移動報告 人口移動の現況−平成12年」(総務省)によると、平成12年の日本人の移動者総数は614万7千人で前年に比べ4万人(0.6%)減少と5年連続減少しており、移動率は4.89%と昭和29(1954)年の調査開始以来最低を記録している。
都道府県内移動者数は333万3千人(前年比0.2%減)、都道府県間移動者数は281万3千人(前年比0.2%減)と、どちらも5年連続して減少している。
図表3-1 我が国の人口移動者数の推移
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資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 人口移動の現況−平成12年」
(2) 三大都市圏の転出入状況
●平成8年から都心回帰(東京一局集中)現象が復活
三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)における転出入超過の状況をみると、東京圏は8万8千人の転入超過となっている。東京圏では、調査開始以来転入超過が続いていたが平成6・7年に一時的に転出超過に陥ったものの、8年以降再び転入超過となり、5年連続の転入超過を記録している。
一方、名古屋圏では昭和50(1975)年以降はほぼ横這い、大阪圏は昭和49(1974)年以降一貫して転出超過となっており、都心回帰現象(東京一局集中)が復活している傾向がみられる。
図表3-2 3大都市圏の転入超過数の推移
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資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 人口移動の現況−平成12年」
(3) 都道府県別の転入出状況
●和歌山県は全国第4位の高い転出超過率
都道府県別に転入超過数をみると、東京都(5万5千人)、神奈川県(1万9千人)、千葉県(1万人)など関東地方を中心に14都県が転入超過となっている。一方、大阪府(2万7千人)、北海道(9千人)など33道府県が転出超過となっている。
転入超過率では東京都が0.46%と最も高く、次いで滋賀県(0.37%)、神奈川県(0.23%)、千葉県及び沖縄県(0.16%)の順で、転出超過率は大阪府(0.31%)、長崎県(0.30%)、秋田県(0.26%)に次いで和歌山県は、全国第4位(0.25%)の高い転出超過率である。
図表3-3 都道府県別転出入超過率
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資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 人口移動の現況−平成12年」
2 UJIターンの動向
「さらば東京UターンIターンフェア」(平成13年2月開催。1,013人回答。平均年齢32.0歳(20〜30代が9割弱))の出席者によるアンケート調査結果から、UJIターン希望者のニーズや考え方を以下のとおり整理した。
(1) UJIターンの理由
●生活・ライフスタイルを重視する傾向。キーワードは「健康」、「のんびり」、「趣味」
「健康的な暮らしをしたい」(48.0%)、「のんびり暮らしたい」(40.0%)、「希望のライフスタイル、趣味をかなえたい」(38.6%)の順となっている。
図表3-4 UJIターンの理由
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資料:国土交通省都市・地域整備局地方整備課「平成12年度UJIターンに関する報告書」(平成13年3月)
(2) UJIターン希望者の割合
●5人に1人がUターン希望。4人に1人が希望地未定
「Uターン(出身地)」が21.1%、「Jターン」(出身地付近の主要都市8.9%、出身地付近ならどこでもいい8.1%)が17.0%、「Iターン」(出身地以外の地域25.7%、出身地以外の主要都市11.4%)が37.1%、「どこでもよい」が24.8%という結果であった。
図表3-5 UJI希望者の割合
資料:国土交通省都市・地域整備局地方整備課「平成12年度UJIターンに関する報告書」(平成13年3月)
(3) 生活したいところ
●3人に1人が30万人以下の中小都市を希望
「中小都市(人口30万人以下)」(33.8%・前年より増加)、「地方圏の町や村」(22.2%)、「政令市」(20.2%)、「中核市」(19.6%)の順であった。
図表3-6 生活したいところ
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資料:国土交通省都市・地域整備局地方整備課「平成12年度UJIターンに関する報告書」(平成13年3月)
(4) 希望する職種
●現業と関わりなく、5人に1人は「農林水産業」あるいは「IT関連」を希望
「農林水産業」(21.4%)、「電気エレクトロニクス・コンピュータ」(12.4%)、「ソフトウエア・情報サービス」(9.0%)の順であったが、現在の業種との相関関係はないのが特徴である。
図表3-7 希望する職種
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資料:国土交通省都市・地域整備局地方整備課「平成12年度UJIターンに関する報告書」(平成13年3月)
(5) UJIターンする際の不安
●4人に3人が「仕事」。次いで「収入」「住宅」など生活基盤の確保の不安が上位
「自分にあった仕事の確保」が74.4%で他を引き離して第一位。次いで「収入の低下」(32.1%)、「地域独特の慣習や人間関係」(24.8%)、「住宅の確保」(22.9%)の順。
図表3-8 UJIターンする際の不安
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資料:国土交通省都市・地域整備局地方整備課「平成12年度UJIターンに関する報告書」(平成13年3月)