3 生活の広域化の動向
(1) 通勤・通学圏域
通勤・通学流動では、[1]名古屋市(木曽岬町、長島町、桑名市など名古屋市に近い)、[2]桑名市(東員町、多度町など桑名市に近接)、[3]四日市市(大安町など西南部)の3つの移動パターンがみられる。
通勤流動では、木曽岬町、東員町、長島町などが名古屋市に対する流出傾向を示している。桑名市は、名古屋に次ぐ流入地域であり、桑名・員弁地域全域から通勤人口を集めている。通学流動では、名古屋市、桑名市、四日市市それぞれが圏域内自治体から通学人口を集める形となっている。
通勤者を対象とした情報サービスにおいては、名古屋市におけるアクセスを考慮する必要がある。また、通学においては桑名市とともに、名古屋市、四日市市でのアクセスを考慮する必要があろう(図表1-25)。
図表 1-25 通勤流動と通学流動
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(2) 購買圏域
車社会の進展などに伴い商業機能の拡散が進んでいるものの、桑名市は高い地元購買率(86.0%)であり、近隣自治体からの吸引率(長島町42.5%、多度町32.4%、員弁町24.5%、北勢町20.8%など)も高く、桑名・員弁地域の商業中心としての役割を担っている。ただし、名古屋都市圏に近い木曽岬町(75.0%)、長島町(35.3%)、多度町(17.9%)などは県外、とくに名古屋への流出率が高く、行政圏域を越えた住民の購買行動がうかがわれる。
このような現状をふまえると、購買行動にかかわる情報サービスにおいては、桑名市の拠点性を活用して行く必要があるものとみられる(図表1-26,27)。
図表 1-26 市町別地元購買率
(単位: %)
  |
平成4年度 |
平成7年度 |
流出率 |
主な流出先 |
県内 |
県外 |
計 |
桑名市 |
81.9 |
86.0 |
5.5 |
8.6 |
14.0 |
名古屋市(7.8) |
多度町 |
12.2 |
43.5 |
38.7 |
17.9 |
56.5 |
桑名市(32.4) 名古屋市(10.1) |
長島町 |
15.6 |
12.6 |
52.1 |
35.3 |
87.4 |
桑名市(42.5) 名古屋市(8.5) |
木曽崎町 |
13.4 |
10.7 |
14.2 |
75.0 |
89.3 |
桑名市(9.9) 名古屋市(8.5) |
北勢町 |
57.7 |
33.2 |
63.4 |
3.4 |
66.8 |
桑名市(20.8) 員弁町(18.5) |
員弁長 |
52.7 |
53.1 |
40.5 |
6.4 |
46.9 |
桑名市(24.5) 大安町(6.3) |
大安町 |
30.8 |
47.2 |
51.7 |
1.1 |
52.8 |
桑名市(19.4) 四日市市(9.5) |
東員町 |
23.0 |
28.0 |
65.1 |
6.9 |
72.0 |
桑名市(54.0) 四日市市(6.0) |
藤原町 |
10.4 |
8.4 |
87.8 |
3.7 |
91.6 |
北勢町(30.6) 桑名市(16.9) |
資料:
三重県「買い物傾向調査(商圏調査)報告書」(平成8年3月)
図表 1-27 桑名・員弁地域の商圏構造
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(3) 医療圏域
医療機関の集積の大きい桑名市では、約9割が「自分が住んでいる市町(桑名市)」と回答し、圏域外の「名古屋市」は4.4%であった。桑名市の近隣で医療機関の集積が低く、医療施設の充実度についての不満が大きかった「中部」では、およそ3人に1人(32.4%)が「桑名市」、次いで「員弁郡」(18.0%)、「自分が住んでいる市町」(15.6%)と回答し、1割弱(8.3%)が域外の「四日市市・鈴鹿市」の医療施設に通院している。北勢町を中心に比較的医療施設の集積が進んでいる「北西部」では、「自分が住んでいる市町」(36.2%)が最も多く、次いで「員弁郡」(27.6%)、「桑名市」(16.2%)という順で、1割弱(9.2%)が圏域外の「四日市市・鈴鹿市」に通院している(図表1-28)。
桑名・員弁地域における医療行動に関する情報サービスでは、桑名市の拠点性と北西部北勢町の拠点性を考慮する必要があるものとみられる。
図表 1-28 医療に関する行動動向
(4) 生涯学習
生涯学習や習い事、趣味などの活動の行動動向は、桑名市では約7割(70.1%)を占める「自分が住んでいる市町」と、1割弱の名古屋市(8.1%)が主要な行き先となる。中部は「自分が住んでいる市町」が35.1%、次いで「桑名市」(14.2%)、「員弁郡」(13.0%)で、圏域外は「名古屋市」(8.0%)、「四日市市」(5.3%)、北西部は「自分が住んでいる市町」が45.4%、「員弁郡」(18.4%)、「桑名市」(8.6%)、圏域外は「名古屋市」(4.7%)、「四日市市」(3.8%)と、中部、北西部は、「自分が住んでいる市町」以外は圏域内では「桑名市」や「員弁郡」、圏域外では「名古屋市」「四日市市・鈴鹿市」などへの移動がみられた(図表1-29)。また、図書館や博物館などの文化施設の利用動向でも、ほぼ同様の結果であった(図表1-30)。
生涯学習に関する情報サービスでは、中部地域、北西部地域の住民の相互移動がかなり大きいことに留意する必要があろう。
図表 1-29 生涯学習や習い事、趣味に関する行動動向
図表 1-30 図書館、博物館などの文化施設の利用動向
(5) 体育施設
体育館、プールなどの体育施設の利用動向は、桑名市では7割弱(68.8%)、中部、北西部の4割強(中部:41.9%、北西部41.6%)が自分の住んでいる市町の施設を利用している。
次いで中部、北西部では「員弁郡」(北西部:21.1%、中部13.0%)、「桑名市」(北西部9.2%、中部7.4%)など圏域内施設の利用が多い。
体育施設に関する情報サービスも、不満度の大きかった北西部での圏域内、圏域間移動が多く、それに次いで中部の移動も大きいことに留意して進める必要があろう。
図表 1-31 体育館、プールなどの体育施設の利用動向