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6 課題の抽出
 調査対象地区の今後の整備推進における課題は、次の視点から捉えられる。
(1) 広域的課題
 調査対象地区は単に浅羽町の海浜ということだけではなく、遠州灘の海浜の一角を占めるものであり、遠州灘の海をどのように捉えていくかという観点からの捉え方が必要となる。
 また、浅羽町は掛川〜浜松都市圏流入人口の受け皿としての性格を有するとともに、これまでは一定の工業の受け皿の機能も果たしてきたし、その一部を調査対象地区が担ってきた経緯がある。
 さらに、浅羽の海は、町民のみならず、掛川・袋井・磐田といった周辺の都市住民にとっても、最も身近な“同笠の海岸”として親しまれている。
 このような流れの中で、これからの時代状況を見据え、浅羽町および調査対象地区が担うべき広域的な役割は何かということを明らかにしていく必要がある。
○遠州灘(黒潮文化圏)における浅羽海岸の特性と役割の明確化
○掛川〜浜松都市圏からみた浅羽海岸一帯の担うべき役割の明確化
(2) 地域的課題
 浅羽町における調査対象地区は、そもそもは天竜川からの堆積物と太平洋のうち寄せる波によって形成された湿地であり、それを人々の干拓により農業の生産地として、さらには工業誘導の一部を担う地区としての役割を果たしてきた。
 しかしながら近年、海浜の砂浜は徐々に削られ、浅羽の海岸を目指してやってくるアカウミガメの卵は一部心ない海の利用者により破損され、以前の農地は就業者がいなくなったため遊休・荒れ地化が目立ち始めている。
 調査対象地区は、本来浅羽の町を海が創ってくれたいわばルーツ的なところであり、自然環境との共生が大きなテーマになる今日においては、浅羽町にとって極めて重要な地区としての位置づけが必要である。
図表1-6-1 地域的課題
区分 課題
基本課題 ○海岸一帯の土地利用の望ましいあり方 (担うべき機能) の明確化
  ・浅羽町における沿岸部土地利用としての役割 (農・工・住・オープンスペース等の視点から)
テーマ別課題 ○生態系を含めた自然環境の保全・活用
  ・海浜の浸食への対応
  ・アカウミガメの産卵の環境確保 (サーファー対策を含む)
  ・松林の保全 (ゴミの不法投棄対策を含む)
  ・水の生態 (揚水、利水等の水との係わり)
○荒廃地 (耕作放棄地・遊休地)等の利活用
  ・全体土地利用からみた望ましいあり方
  ・土地所有者との意向調整
○インパクトへの効果的な対応のあり方
  ・エコパの動きへの対応
  ・福田漁港のレクリエーション化への動きとの対応
  ・遠州灘の 「風トピア構想」 の動きとの対応
  ・交通インパクトへの短・中・長期を見据えた対応 (第2東名、広域農道国道バイパス、静岡空港等)
○地域の特性  ・固有性ある資源の活用
  ・海、海浜資源 (アカウミガメ、黒潮、海浜、松林、海の漂着物、風等)
  ・動植物資源 (野鳥、海浜植物、コスモス等)
  ・“縁”資源 (紀伊、熊野との修験の縁、唐との縁)
  ・地域開拓史の事跡 (明治・大正・昭和割、浅羽大囲堤、命山)
○産業 (農・工) の生産物・システムの活用)
  ・畜産
  ・水耕栽培技術
  ・各種の工場生産物やシステム (例えば:メロンの漬け物)
○リサイクル資源の活用
  ・海の漂着物(寄木等)
  ・農業、工業等の産業廃棄物 (例えば:インテリア家具の廃材)








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