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2 塵角市の交流事業の取組状況
(1) ふるさと大使制度
 
 「鹿角市ふるさと大使」は、本市の出身者またはなんらかの形で市との縁を持つ人に、それぞれの職域や人脈を活用して本市の観光や物産などの首都圏への広報活動及び、首都圏情報の提供、市政に対する提言などを得ることを目的に、平成2(1990)年に制度を設けた。なお、平成元(1989)年9月に設置した東京事務所が「ふるさと大使館」と位置づけられている。
 メンバーは、ふるさと会関係者、中央省庁及び国の機関在籍者、イベント関係者、産業・経済関係者、教育・文化芸術関係者、ジャーナリスト、報道関係者等から広く委嘱しており、現在、第6期(平成12年10月〜平成14年9月)を数え、発足からの延べ人数は、女性7人を含み203人となる。
 取組内容は、大使の活動を通じての情報や意見、提言などの集約の場として、年1回市(行政)と市内の関係団体のメンバーを交えた懇談会を東京で開催してきた他、平成9年からは大使を「産業振興部門」、「教育分化部門」の2班に分け、部門別に懇談会を開催するなどの活動を行ってきた。
 その他の取組としては、専用に作成した大使の名刺に観光施設等の割引サービスを付加したり、市の広報紙に、大使からの情報発信・提供となる「ふるさと大使からの手紙」を、定期的に掲載するなど、市民にふるさと大使及びその活動状況の認知・啓発を図るための方策を講じてきた。
図表3−1 鹿角市ふるさと大使の委嘱状況
任期 第1期 第2期 第3期 第4期 第5期 第6期 延べ委嘱者数
期間 H2.2〜H4.1 H4.2〜H6.1 H6.2〜H8.1 H8.2〜H10.1 H10.6〜H12.5 H12.10〜H14.9
人数 24人
(女性1人)
47人
(女性1人)
33人
(女性2人)
38人
(女性2人)
39人
(女性1人)
22人
(女性0人)
203人
(女性7人)
資料:鹿角市データより作成
(2) 東京事務所、アンテナショップ
 
 首都圏における情報収集や、中央省庁などの関係機関との調整、企業誘致、民間との連携による市のPR活動の推進及び市政の効率的運営などを目的に、平成元年9月に台東区東上野に東京事務所が開設された。
 東京事務所の活動内容は、中央省庁からの資料・情報収集、会議等の代理出席、市長上京時の秘書役、市観光物産のPR企業誘致、U・Iターン希望者に対する情報提供、ふるさと大使館としての活動などがある。しかし、バブル崩壊やインターネットを通じた情報公開・交流など、社会経済環境の急激な変化により、企業誘致や情報収集活動などの活動には、東京事務所という立地による優位性が失われつつあった。
 こうした状況を踏まえ、東京における活動内容を、官公庁からの情報収集から、民間との交流にシフトし、農業を通しての情報発信を行いながら、全国に鹿角市の存在をアピールするとともに、産業の活性化に結び付けるため、平成9年2月恵比寿にアンテナショップ「鹿角ピア」をオープンした。
 「鹿角ピア」は、情報の受発信基地、市出身者の集う場、市民が上京したときの憩いの場となるものであり、食を通して文化の交流スポットとなる。また、情報を収集するだけでなく、情報を発信することにより鹿角市を全国に知ってもらうことを目的としており、東京事務所の機能とも連携を図るという観点から、事務所併設という形態をとった。また、アンテナショップにおいては、地元からの食材の仕入れによる経済効果のほか、年2回「食の交流祭り」を開催し、本市出身首都圏在住者や地元広尾地区住民などと農産物等の販売を通しながら交流を深めてきた。
 その後、平成10年10月に店名を「秋田鹿角屋」としてリニューアルし、平成14年1月まで継続した(なお、東京事務所は平成13年3月31日で閉鎖)。
(3) よつぎ小との農村体験交流事業
 
 都会の子どもたちが農家に宿泊しながら自然にふれあい、農作業、観光、伝統行事への参加など、市民との交流を通じて鹿角に愛郷心を持ち、将来にわたる交流を通じて交流人口の拡大を図ることを目的に、昭和60年からよつぎ小学校との農村体験交流事業を行っている。
 また、平成4(1992)年からは「クロマンタ倶楽部」(農業生産者の会)の協力を得て、よつぎ小学校校庭や体育館でのバザーを開催し、また、平成12年には四つ木商店街で、朝市・物産展、フリーマーケットに参加した。
 この交流事業では、事業開始から平成13年度までで523人の児童が鹿角を訪れ、卒業後も鹿角を訪れたり、受け入れ農家に米やりんご等農産物の注文があるなど、なんらかの形で市民レベルの交流が続いている。








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