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2.16 電気の測定器
 機関に使用されている電気部品は多い。その故障の原因は各部分の電圧値、電流値又は抵抗値のどれか(または全部)が適正でないことによることが多い。
 一般に、電気、磁気に関する量は機械的量と異なりわれわれの視覚・聴覚・触覚などで直接感じることができないので計測器に全面的にたよることになる。なお、測定器の使用に際しては、正しい使用方法を知ることはもちろん、その構造や性質を十分知っておく必要がある。
 
1) 電圧、電流の計測
(1) サーキットテスタ
 サーキットテスタは、交流の電圧、直流の電圧、電流および各種の抵抗を測定するもので、用途は非常に広い。
 テスタにはリード線のさし替え式とロータリスイッチ式がある。ロータリスイッチ式の方が測定レンジの切換えが早く使いやすい。
 8・22図に従来の指針式テスタを示すが、最近はこれに代って表示部分がデジタル方式のものも普及してきている。
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4・22図 サーキットテスタ
(2) 電圧計
 電圧計は、電気回路各部の電圧を測定する計器で、内部抵抗が極めて高い。一般にはサーキットテスタが使用されるが、より精度の高い電圧測定に使用する。
 なお、4・23図に示すような電圧計と電流計がセットになった電圧電流計もある。
(3) 電流計
 電流計は回路に流れている電流を測定する計器で、電圧計とは逆に内部抵抗はきわめて小さい。次項に記すクランプメータと同様に、精度の高い電流測定ができる。
 又、大電流の測定には4・24図に示すようなシャント(分流器)を併用する。
4・23図 電圧計と電流計
4・24図 シャント
(4) クランプメータ
 クランプメータはサーキットテスタでは測定できない大電流の測定が可能で、しかもサーキットテスタと同様に電圧や抵抗の測定もできる。特に電力ラインを切離さずに活線の状態で直流および交流の電流を測定することができる。最近はデジタル表示のものが主流になりつつある。
(5) 計測要領
 電圧、電流を正しく計測するためには、計器の最大目盛(容量)が計測するものより大きく、かつできる限り近い値のものを選ぶ事が望ましい。計測予測値が不明の場合や計測器が切換式のものであれば、最初、容量の大きなもので計測し、その結果から適切なレンジを選定して再度計測する。このようにして計器の損傷防止を図ることが重要である。なお、大電流を計測する場合には、シャント等を併用する。
 注 直流の計測には+−に注意すること。
(イ) 直流電流の測定要領
 電流計は原則として、測定する回路に対して直列に接続しなければならない。測定しようとする部分を切断して、その両端を電流計に接続して計測する。4・25図にその一例を示す。なお、負荷が入っていない状態で計測するとメータおよび結線を一瞬にして焼損するので注意すること。
4・25図 直流電流の測定
(ロ) 直流電圧の測定要領
 電圧計は電流計と違って、測定部分に対しては原則として並列に接続する。したがって、回路を切断するわずらわしさがない。4・26図に一例を示す。
4・26図 直流電圧の測定
(ハ) 交流電圧の測定要領
 直流電圧と同様に測定部分に対して並列に接続する。4・27図に一例を示す。
4・27図 交流電流の測定
(ニ) 機関付属発電機発生電流の測定(蓄電池充電電流の測定)
 機関を始動させ、バッテリの+端子よりバッテリケーブルを取りはずし、電流計を4・28図のように配線する。計器をセットしてから機関を始動させると数100アンペアの電流が流れ、メータおよびコードを焼損するので注意すること。
4・28図 バッテリ充電電流の測定
(ホ) シャントを併用する場合
 測定しようとする電流が流れる回路に、その電流に十分耐える、なるべく短い電線を使用し、4・29図のようにシャントを直列に接続する。次にシャントに(+)、(−)の極性を合わせて電流計を並列に接続する。
4・29図 シャントを併用する場合
 
2) 抵抗の計測
 抵抗計の使用方法は、その目的によって2つに分けられる。第1は抵抗器や回路などの抵抗値を求める場合、他は回路やその部分などの導通状態を調べる場合である。一般にはサーキットテスタが使用されるが容量の大きいものや絶縁抵抗の計測には絶縁抵抗計(メガー)が使用される。
注[1] 機器の回路抵抗、絶縁抵抗を測定するときには必ず電源を切ってから測定する(測定ラインの電流をOFFにする)。また、コンデンサを含む回路では、電荷を放電させてから測定する。
 [2] 導通テストのときには電圧のかかったままテストしないこと。
 
3) バッテリテスタ
 バッテリの放電状況を色別目盛でしめした計器である。
測定順序
[1] バッテリ容量(AH)に合わせてダイヤルをセットする。
[2] バッテリの(+) 端子には赤のテストリードを、(−)端子には黒のテストリードをセットする。
[3] テストボタンを5秒間押して測定する。放電するため、10秒以上ボタンを押さないように注意する。
2.17 出力の測定器
 機関の軸出力を測定する装置を動力計と呼ぶ。装置の内部で動力を消費させ、動力計にかかる回転モーメントを測定することによって、軸出力を求める形式を吸収動力計という。
また、機関から動力を伝達する途中で、軸のねじれなどを利用して軸出力を測定する形式を伝達動力計という。
 
1) プロニ・ブレーキ
 動力を吸収するため、個体摩擦を利用したもっとも簡単な動力計である。動力はフライホイルまたはクラッチ軸に取りつけたブレーキ胴をブレーキ片ではさみ、バネで締めつけ、その制動力を秤で計測し、出力を算出する。
 
2) 水動力計
 動力を吸収させるために、固定側と回転側との水の内部摩擦や、うず状の流れを利用する水動力計は、制動力も安定し、大出力用も比較的安価であるため広く利用されている。
 
3) 電気動力計
 電気動力計は機関の出力を電力に換える一種の発電機で、直流式と交流式とがある。
電気動力計は制動力の安定もよく、制御も簡単であるが、高価である。
 
4) 空気動力計
 ファンまたはプロペラを機関に直結して回転させ、動力を吸収する形式の動力計を空気動力計という。ファンの特性をあらかじめ検定しておき、回転速度を測定することによって出力が算出できる。しかし制動力を任意に変えることは一般にできない。したがって、耐久運転などのように一定負荷で長時間運転をするときなどに用いられることが多い。








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