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3級舶用機関整備士指導書(平成13年度)

 事業名 舶用機関整備士資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5
2. プロペラ
 舶用プロペラと言えば一般にスクリュプロペラを指す。スクリュプロペラは構造が簡単でしかも比較的効率が高いことからほとんどの船の推進に使用されている。通常は単にプロペラと呼ぶ。
 プロペラには固定ピッチプロペラと可変ピッチプロペラがある。ここで固定ピッチプロペラについて述べる。
 プロペラ以外の船の推進器としてはフォイトシュナイダプロペラ、外輪車、ウォータジェット推進装置などがある。
2.1 プロペラに関する用語とその説明
 3・28図に示すような固定ピッチプロペラに関する用語とその説明を述べる。
 3・28図は船尾側から船首側へ見て船の前進時右回転(右回り)するプロペラを示し、プロペラボスとプロペラ軸とのはめあい部にキーを用いて取付けるキー付きプロペラである。プロペラとプロペラ軸とのはめあい部にキーを用いずにプロペラを押込みコーンパート部の摩擦力によって結合する構造のキーレスプロペラもある。
 
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3・28図 プロペラ各部の名称
 
1) プロペラ直径
 プロペラ直径とはプロペラが1回転した時、羽根の先端が描く円の直径である。
 実際のプロペラ直径を計測するには1つの羽根の軸中心から羽根最先端の長さRを計測し、2R=Dをもって直径とする。3・29図に示す。
 
3・29図 プロペラ直径
 
3・30図 ボルトナットのピッチ
      
 
2) プロペラピッチ
 プロペラピッチとはプロペラ羽根のねじれ角度によってプロペラの1回転で進む理論上の距離を言う。
 3・30図に示すようにボルトとナットの場合は、ボルトを固定しナットを1回転させたとき、ナットの進んだ距離がピッチである。プロペラは水中で回転するものであるから、このようにはっきりとはわからない。しかし、もしプロペラが流体中で回転する代りに、固体中で回転したとすれば、1回転する毎に進むと考えられる距離をやはりピッチと名付ける。3・31図に示すようにプロペラピッチはプロペラ羽根のねじれ角度によってプロペラの1回転で進む理論上のピッチである。普通のボルトのねじ山は1重ねじであるがプロペラの場合3枚羽根は3重ねじ、4枚羽根は4重ねじに相当する。
3・31図 プロペラピッチ
 3・32図に示すようにプロペラのピッチの半径方向の分布には、一定ピッチ分布、逓減ピッチ分布、逓増ピッチ分布の3種類がある。一定ピッチ分布は、羽根根元から羽根先端までのピッチが一定である。逓減ピッチ分布は羽根根元から羽根先端にいくにつれて、ピッチが小さくなっているもので、逓増ピッチ分布は逆に羽根根元から羽根先端にいくにつれてピッチが大きくなっているものである。逓減ピッチ分布および逓増ピッチ分布のプロペラの場合のピッチは代表半径位置の0.7R(R=プロペラ半径)部分のピッチで一般に表示する。
3・32図 プロペラピッチ
 
3) プロペラピッチ比
 プロペラピッチ比とはプロペラピッチをプロペラ直径で割った値を言う。
 
4) プロペラボス
 プロペラボスとはプロペラをプロペラ軸に取り付けるボス部を言う。またCPPやFPPで羽根をボルトで取付けるものはハブと言う。プロペラボスの内側の空所にはプロペラ軸の防食のためグリースなどを充填する。(3・28図参照)
 
5) プロペラボス直径
 プロペラボス直径とはプロペラ羽根取付部のボスの直径を言う。(3・28図参照)
 
6) プロペラボス比
 プロペラボス比とはプロペラボスの直径をプロペラ直径で割った値を言う。通常プロペラの場合、プロペラボス比は概略0.16〜0.20位である。プロペラボス比が小さい程プロペラの効率はよい。
 
7) プロペラ羽根
 プロペラ羽根とはプロペラのスラスト(推力)を出す羽根状の部分を言う。(3・28図参照)3・33図にプロペラ羽根の輪郭の代表的なものを示す。プロペラ羽根輪郭はそれぞれの船種に適したものが採用され、一般に貨物船、タンカ、漁船などでは、烏帽子型(エボシ型)が広く採用される。高速艇では丸型が採用されまた曳船などでコルトノズルを有するものにはカプラン型が採用される。近年船体船尾振動の低減を主目的として、ハイスキュー型の採用が多くなってきた。
3・33図 羽根輪郭
 
8) 羽根先端
 羽根先端とはプロペラ羽根の最先端を言う。(3・28図参照)
 
9) 羽根根元
 羽根根元とはプロペラ羽根のボス取付部で丸味が付いている部分を言う。(3・28図参照)
 
10) 羽根前縁
 羽根前縁とはプロペラ羽根の正転回転方向側の縁で羽根に水が入ってくる側を言う。
(3・28図参照)
 
11) 羽根後縁
 羽根後縁とは羽根前縁と反対側の縁で羽根から水が切れる側を言う。(3・28図参照)
 
12) 羽根前進面
 羽根前進面とはプロペラ羽根の前進時にスラスト(推力)を受ける面を言う。前進面はピッチ面、フェース面または正面とも言う。(3・28図参照)プロペラを船に装備した場合、その船尾側の羽根の面が前進面である。後進面とまちがえやすいので注意が必要である。(3・28図参照)
 
13) 羽根後進面
 羽根後進面とはプロペラ羽根の後進時にスラスト(推力)を受ける面を言う。また背面、バック面とも言う。(3・28図参照)
 
14) 羽根プロファイル
 羽根プロファイルとはプロペラを横方向から見た羽根の輪郭を言う。(3・28図の左図参照)
 
15) 羽根断面
 羽根断面とはプロペラ羽根の円周方向に沿った断面を言う。船の速力などによって羽根の断面は異なる。(3・28図参照)
 
16) 羽根幅
羽根幅とはプロペラ羽根の各断面を平面に引き延ばしたときの幅を言う。(3・28図参照)
 
17) 羽根厚さ
 羽根厚さとはプロペラ羽根の各断面の厚さを言う。主機関出力、回転数、船速などによって羽根の厚さが決まり、羽根の先端に行くに従って薄くなる。3・34図は羽根の最大厚さの分布を示したものである。一般に直線的な羽根厚さ分布をしている。また羽根断面において最大の厚さの部分を羽根の最大厚さと言う。(3・25図参照)
 
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3・34図 羽根の最大厚さの分布
 
18) 羽根厚比
 羽根厚比とは羽根先端の最大厚さt2と羽根根元の最大厚さt1とを結んだ線をプロペラ軸中心線まで延長し、その交点O、Aなる仮想の厚さが得られ、このOAの厚さをプロペラ直径で割った値を最大羽根厚比と言う。この値によって羽根が比較的厚いか、薄いかの見当がつくので設計上重要である。3・34図には半径方向の羽根の最大厚さ分布を示しているが、直線的な分布形状のものや曲線分布形状のものとがある。また羽根断面における最大厚さの位置は通常のプロペラでは前縁側の方によっているが、高速艇などのプロペラの場合羽根幅のほぼ中央にあるものもある。
 
19) プロペラ全円面積
 プロペラ全円面積とはプロペラ羽根の先端が回転して描く円の面積を言う。プロペラ直径をDとすればつぎの通りである。
 
z1183_01.jpg
 
20) 羽根投影面積
 羽根投影面積とは3・35図に示すように[2]の方向から見て軸心に垂直な面に投影したプロペラ羽根の面積を言う。
 
21) 羽根伸張(展張)面積
 羽根伸張面積とは3・35図に示すように[1]の方向から見た羽根の輪郭を1枚の紙の上に平らにおしひろげたときの形状を羽根によって構成される羽根図形(伸張図)の面積を言う。
 
22) 羽根展開面積
 羽根展開面積とは伸張図で円孤上にある各羽根断面を一直線に延ばした状態でのプロペラ羽根の面積を言う。プロペラ形状を表現するのに、通常この展開面積が用いられる。
 なお、伸張面積と展開面積とはほぼ等しい面積である。(3・28図参照)
3・35図 伸張図と投影図の関係
 
23) 羽根投影面積比
 羽根投影面積比とは投影面積をプロペラの全円面積で割った値である。
 
24) 羽根伸張面積比
 羽根伸張面積比とは伸張面積をプロペラの全円面積で割った値である。
 
25) 羽根展開面積比
 羽根展開面積比とは展開面積をプロペラの全円面積で割った値である。
 
26) 平均羽根幅
 平均羽根幅とは1つの羽根の展開面積を羽根の長さで割った値を言う。
 
27) 平均羽根幅比
 平均羽根幅比とは平均羽根幅をプロペラ直径で割った値を言う。
 
28) 羽根レーキ(傾斜)
 羽根レーキとは3・34図に示すように羽根傾斜は軸心に垂直な面に対するプロペラ前進面の基線の傾きを言う。
 羽根傾斜は通常プロペラの場合、船尾側方向に5°〜12°位傾斜しているが、高速艇などの場合、傾斜のないものや、船首側方向に傾斜しているものもある。船尾側方向に傾斜しているプロペラはプロペラ羽根先端と船体との間隙を大きくするには良い方法であり、また船首側方向に傾斜しているプロペラは高速艇などで回転に基づく遠心力を利用して、少しでも羽根根元部の応力を減じて、羽根厚さを薄くするための工夫である。
 
29) ウォッシュバック
 ウォッシュバックとは3・28図に示すようにプロペラ羽根の各断面で前縁側および後縁側が前進面基準線より反り上がった状態を言う。一般に羽根前縁側に付いている場合が多いが、羽根断面によっては、後縁側に付くこともある。
 
30) スキューバック
 スキューバックとはプロペラ羽根の設計中心線と羽根先端とのずれの距離を言う。
 
31) スキュー角
 スキュー角とはプロペラ羽根投影図において、プロペラ軸中心と羽根幅中心線の羽根先端の点とを結ぶ直線とプロペラ軸中心から羽根幅中心線へ引いた接線とがなす角度である。通常型プロペラの場合、スキュー角は7〜8度であり、ハイスキュープロペラの場合は25度以上である。(3・37図参照)
 
32) プロペラキャップ
 プロペラキャップとは3・28図に示すようなプロペラナット用の覆いを言う。プロペラボンネットまたは冠とも言う。プロペラキャップの内部にはプロペラ軸の防食のためのグリースなどの充填材を充填する。小型プロペラの場合プロペラキャップはプロペラナットを兼ねることもある。
 








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