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[5] 塞止弁
 塞止弁は、2・190図(b)に示すような構造をしており、空気槽からの主空気の流れを、操縦弁からの作動空気が到達するまで一時停止させる役目をしている。
2・190図 操縦弁及び塞止弁の構造と空気の流れ
[6] 充気弁
 エアタンクには独立駆動の空気圧縮機を使用して充気する以外に、通常第一シリンダのヘッドに充気弁を設けておき、無負荷低速運転中に、そのシリンダの燃料をカットし、空気圧縮機としてエアタンクに充気しているものもある。
 充気弁は2・191図に示すような構造であり充気を行うときは、
イ) 第一シリンダの燃料噴射ポンプのプライミングハンドルを操作して燃料をカットする。
ロ) エアタンクの充気弁を開く。
ハ) 第一シリンダの充気弁を開く(これにより充気が始まる)。
 充気が終わったときは上記と反対の順序で各充気弁を閉めると共に、燃料カットを解除する。この方法により充気する場合は、エアタンクの中に水が溜まるので充気後、タンクのドレンコックを開きドレンを排除する。水分は機関始動時に始動弁などに付着し錆び付きや腐食、膠着などの原因となる。
2・191図 充気弁の構造
(2) 空気始動(エアスタータによる方式)
 エアスタータによる始動方式は、電気始動方式のスターティングモータの代わりにエアモータを使用した方式で2・192図に示すような部品で構成されており、エアタンクの圧縮空気は、減圧弁により0.6〜0.9MPa(6〜9kgf/cm2)程度に減圧され、フィルタで濾過された後、オイラを通過する。
 オイラは自動的に潤滑油を噴霧状にして圧縮空気に混合させる。この圧縮空気がスタータの給気口より入ってスタータを駆動し、消音器を経て放出される。
2・192図 始動装置と空気の流れ
[4] エアスタータ
 エアスタータは2・193〜195図に示すようにモータ部分と駆動部分に分かれており、モータ部分にはケースの中にロータとロータ羽根が組み付けられている。又駆動部分は、ケース(1)、減速ギヤ(6)、摩擦板(7)、ピニオン(4)、ピニオン軸(5)などで構成されている。
 圧縮空気が、エアスタータの給気口よりメインケース(1)内に吹き込まれるとロータ(2)の溝にはめ込まれたロータ羽根(3)を押し出すと同時にその側面に当たり、回転力をロータ(2)に与え急激に高速で回転を始める。ロータの回転は減速部分及び緩衝部分を介してピニオン軸(5)に伝達されるがピニオン(4)は慣性のため同時には回転せず回転を起こす前にピニオン軸(5)に切られたネジによって前方に押し出され、エンジンのはずみ車に設けられたリングギヤと噛み合う。ピニオンはピニオン軸の端まで来て止まり、そこで初めて軸の回転がリングギヤに伝わりエンジンを回転させる。エンジンが始動して回転が上昇するとピニオンがエンジンにより駆動される状態となり起動の場合と逆にピニオンが後退し、リングギヤとの噛み合いが外れる。従ってエンジンが始動すれば直ちにクイックバルブを閉じ空気の供給を止める。なお、自動起動の場合はエンジンの回転数が設定した回転に達すれば電磁弁を自動的に閉じる制御回路を設けている。
2・193図 エアスタータの構造例
2・194図 モータ部分
2・195図 駆動部分








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