日本財団 図書館


2.6 燃料装置
 主としてA重油を使用する中小形ディーゼル機関の燃料装置としては、燃料タンク、沈澱槽、油水分離器、燃料供給ポンプ、燃料こし器、燃料噴射ポンプ、燃料高圧管、及び燃料噴射弁などから構成されている。装置の一例を2・116図に示す。
(拡大画面: 66 KB)
2・116図 燃料装置
 
1) 沈澱槽
 構造は、2・117図に示す如く縦長の円筒形の内側に仕切り板を設け、上部から入る燃料は矢印の如く仕切り板の下側を通り上部の出口に抜けるようになっている。
 燃料が仕切り板の下側を迂回して流れる間に、比重の大きな水分やゴミなどが沈澱して下部に溜まるようになっており、溜った水やゴミは時々コックを開き排出してやらねばならない。
 沈澱槽を選定する場合は、十分な容量のものを選ばなければ、内部の流速が早くなり、水分やゴミが沈澱するひまもなく、そのまま出口に流れてしまう恐れがあり、沈澱槽の役目を果たさなくなるので可能な限り容量を大きくして流速を落としてやる必要がある。
2・117図 沈澱槽
 
2) 油水分離器
 直接噴射式機関は、燃料噴射弁の噴孔が小さく、燃料中に含まれるゴミや水分を嫌うため、殆どの機関には油水分離器が沈澱槽の後に取り付けられている。
 構造は2・118図に示すように内部に特殊なエレメントが入っており、燃料が通過するときに水分やゴミなどの不純物を遮断して底部に沈澱させるようになっており、下部に堆積する不純物は時々コックを開いて排出する。油水分離器は大形の排出コックを設けた一種の燃料こし器であり、内部のエレメントは一定期間使用すると効果が低下するので定められた時間で交換することが大切である。なお、使用燃料中に含まれる水分や不純物などの多い粗悪燃料を使用することが当初からわかっている大形機関においては遠心式油水分離器(ピューリファイヤ)などの併用も必要である。
2・118図 油水分離器
 








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION