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(2) 油圧湿式多板並列形減速逆転機
 油圧湿式多板並列形減速逆転機は中小形高速機関に最も多く用いられている減速逆転機であり、以下標準形のものについて説明する。
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2・164図 油圧湿式多板並列形減速逆転機
(イ) 構造
 構造は2・164図に示すとおり駆動軸、逆転軸、推力軸およびギヤケースから構成され駆動軸(入力軸)はタワミ軸接手を介して機関と結合され動力を伝達する。
 駆動軸と逆転軸にはそれぞれクラッチドラムと一体化された歯車、油圧クラッチのほか正転(前進)駆動歯車および逆転(後進)駆動歯車などが設けられている。推力軸(出力軸)には減速大歯車のほかに自動定速弁装置を有するものには遠心式ガバナを駆動する歯車を設けている。
 入力軸端部には歯車式油ポンプが設けられ、切換弁や低速弁などが配置されている。ギヤケースはそれぞれの軸と歯車などが組立状態のまま取り出せるよう、蓋、リヤカバー、ギヤケースおよび機関部へ結合するマウンティングから成り立っている。クラッチドラム内部にはシンタプレート(摩擦板)、スチールプレート、油圧ピストンなどを配し、クラッチレバーを前進または後進側へ倒すと油ポンプから圧送された油が切換弁から前進クラッチ軸又は後進クラッチ軸に設けられた油孔を通ってシリンダ内へ入り油圧ピストンを押し、シンタプレートとスチールプレートを摩擦板受板に圧着するので動力が伝達される。
 又2・165図は、クラッチケースの中に収ったクラッチ主要部の外観透視図を、また2・166図にはクラッチドラムの断面図を示す。
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2・165図 クラッチ主要部組立外形図
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2・166図 クラッチ断面図
 2・167図は、油圧系の諸部品配置とその回路図であり、JISで定められた図記号により画いたものである。
 油圧を発生させ、各軸受部を潤滑させるための油ポンプは、エンジン用とは別個にクラッチ軸端部に装着されており、クラッチを作動させる油圧(作動油圧という)と、潤滑油圧は、それぞれの油圧調整弁により、調圧される。
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2・167図 油圧式クラッチ油圧系統図








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