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2. 日本・南太平洋諸島造船交流会議2001資料
I. 序
 南太平洋諸国は島嶼国家であり、海上輸送が物資の輸送、生活の足として社会経済発展の基本的インフラとして重要視されている。しかしながら、南太平洋島嶼諸国では海上輸送はいまだ老朽化した中古船や小型木造船、無動力船などによるものがほとんどであり、海上輸送手段の現状は劣悪であり、不十分である。
 
 このような中、南太平洋島嶼諸国は、今後の経済発展の可能性を有しており、この過程においてさまざまな用途の船舶が必要となるため、わが国中小型造船業にとって魅力のある重要な地域となる可能性が高い。また、さまざまなのニーズに応じた適切な船舶を低コスト、納期厳守で供給できるわが国中小型造船業の寄与できるところは大きい。
 
 一方、これら南太平洋島嶼諸国は、経済開発の必要な資金の大部分を諸外国からの政府開発援助(ODA)に頼らざるを得ないのが現状である。昨今ODAの有効的な実施を強く求められているが、南太平洋島嶼諸国の場合は造船分野での援助が当該諸国の基本的インフラを整備するということに直結しており、極めて有意義なものである。
 
 このように、南太平洋島嶼諸国との交流の必要性は従来から認識され、たとえばJETRO SIDNEY 舶用機械部を中心にさまざまな調査を実施してきたが、地理、交通機関、言語等の問題により、我が国業界も当該諸国に個別接触を図ることは効率的ではないこと、これら諸国は前述のとおり十分な資金を有していないため日本に対して積極的なアプローチを図ることができないでいること等により両者の意思疎通が十分図れていない状況にある。
 
 このような状況を打開する策としては、我が国中小型造船業界及び当該諸国双方が直接意思の疎通を図る場を設けることが最も効率的かつ不可欠なものである。このため、我が国中小型造船業界と当該諸国の海事関係要人との交流の場として、日本及び南太平洋島嶼諸国との航空路が設定されており、会議設備、衛生、治安等に問題がないシンガポールにおいて2001年11月に民間交流会議を開催し、この会議を通じて、我が国業界関係者と南太平洋島嶼諸国の海事関係者との交流を促進することにより、両者の緊密な関係を構築し、船舶関係の貿易の活性化を図ることを目的とした。
 
 なお、本会議は、日本財団の助成金による(財)シップ・アンド・オーシャン財団の協力金を得て開催した。
 
II. 会議出席者名簿
日本側出席者名簿 (敬称略)
 
1. 三輪 善雄 ;(社)日本中小型造船工業会会長、内海造船株式会社相談役
2. 山光  潤 ;内海造船株式会社新造船営業部
3. 石渡  博 ;(社)日本中小型造船工業会副会長、墨田川造船株式会社取締役社長
4. 寺西  勇 ;(社)日本中小型造船工業会副会長、株式会社三和ドック取締役社長
5. 佐藤  守 ;横浜ヨット株式会社取締役社長
6. 滝野 晴市 ;株式会社新潟鐵工所造船カンパニー部長
7. 掘田 正宏 ;株式会社サノヤス・ヒシノ・明昌取締役マリン部長
8. 浅野富士人 ;浅川造船株式会社取締役社長
9. 檜垣  巧 ;今治造船株式会社専務取締役
10. 北村 和芳 ;(社)日本中小型造船工業会業務部長代理
11. 板澤  宏 ;かもめプロペラ株式会社取締役社長
12. 山田 信三 ;大洋電機株式会社取締役社長
13. 槙田  實 ;株式会社マキタ取締役社長
14. 安藤 豊久 ;ヤンマーディーゼル株式会社取締役副社長
15. 井原  浩 ;ヤンマーディーゼル株式会社特販営業部長
16. 中庭 隆博 ;ヤンマーディーゼル株式会社労働組合書記長
17. 藤原 克彦 ;ヤンマーディーゼル株式会社海外特販部課長
18. 西本 康志 ;ヤンマーディーゼル株式会社舶用特販部主任
19. 西田 雅史 ;YANMMER ASIA(S)CORP PTE株式会社
 
<オブザーバー>
20. 木内 大助 ;国土交通省海事局造船課長
21. 森  雅人 ;シップ・アンド・オーシャン財団調査役
 
<司会・事務局>
22. 山? 壽久 ;JETRO SINGAPORE 船舶部長
23. Ms.Kristine Tan ;JETRO SINGAPORE 船舶部
 
オセアニア諸国側参加者名簿
(アルファベット順)
ミクロネシア連邦:
1. Captain Matthias R. Mangmog
  Manager
  Maritime Safety and Inspection Branch, Division of Maritime Transportation
2. Captain Matthias J. Ewarmai
  Director
  Fisheries and Maritime Institute
 
フィジー共和国:
1. Mr. Ledua VERE
  Assistant Director
  Government Shipping Services (GSS)
2. Captain Apenisa Vata KATONIVUALIKU
  Assistant Director
  Fiji Islands Maritime Safety Administration (FIMSA), Ministry of Transport & Tourism
 
マーシャル諸島共和国:
1. Mr. Betwel Lekka
  Assistant Secretary
  Ministry of Transportation & Communication
2. Mr. Josephius Tiobech
  Director
  Marshall Islands Port Authority
 
ソロモン諸島
1. Mr. Sam Maezama
  Permanent Secretary
  Ministry of Transport, Works, Communication & Aviation
 
III. スケジュール・議事次第
スケジュール
1. 全体会議 (記念撮影)
 
2. 個別会議
 ・ミクロネシア連邦
 ・フィジー共和国
 ・マーシャル諸島共和国
 ・ソロモン諸島
 
3. 歓迎レセプション (ホテル内別会場)
 
 
議事次第
全体会議
1. 開会(含む議事進行方法説明)
2. 参加者紹介(日本、オセアニア諸国)
3. (社)日本中小型造船工業会会長挨拶
4. 国土交通省海事局造船課長挨拶
5. 「日本造船業の紹介」
6. 「オセアニア諸国における船舶の利用(国名アルファベット順)」
 ・ミクロネシア連邦
 ・フィジー共和国
 ・マーシャル諸島共和国
 ・ソロモン諸島
 
7. 意見交換
8. 「日本のODAの仕組み」
9. その他
10. 閉会
 
  《記念撮影》
 
個別会議
・ミクロネシア連邦
・フィジー共和国
・マーシャル諸島共和国
・ソロモン諸島
 
IV. 議事概要
11月12日(月) 於:Ritz-Carlton Millenia Singapore, Millenia 1
1. 全体会議議事概要
−全体会議開会−
(1) JETRO SINGAPORE山崎が開会宣言及び議事進行方法の説明を行った。この中で山崎は、本会議の趣旨は日本、オセアニア諸国の関係者の懇親を深めることとし、概要次のとおり述べた。
[1]オセアニア諸国では海上輸送が社会経済発展のための基本的インフラとして重要視されており、今後の経済発展の可能性を有しているが、使われている船舶等の現状は十分ではないように見える。
[2]わが国造船業界は、さまざまなニーズに応じた適切な船舶を低コスト、納期厳守で供給できる。
[3]両者の交流の必要性は従来から認識されていた。
[4]オセアニア諸国と日本は、地理、交通機関、言語等の問題により、両者の意思疎通が十分図れていない状況にある。
[5]両者が直接顔を合わせ、意思疎通を図る場としてこの会議を、日本およびオセアニアと航空路が設定された安全なシンガポールで開催する。
 
(2) 日本からの参加者の紹介があった。日本からの参加者は(社)日本中小型造船工業会会員会社、舶用メーカー、オブザーバー、司会・事務局の順に紹介を行い、オセアニア諸国は国名のアルファベット順に紹介があった。
 
(3) 三輪善雄(社)日本中小型造船工業会会長より挨拶があった。この中で三輪会長は、(社)日本中小型造船工業会の概要を説明するとともに、本会議は昨年パリで開催された「日本・北アフリカ諸国造船交流会議」に続き2回目の開催であり、この交流の場により、日本とオセアニア諸国との相互理解が深まり、日本の造船業・舶用工業における民間交流がさらに推進されると述べた。
 
(4) 木内大助国土交通省海事局造船課長より挨拶があった。この中で木内課長は国土交通省の技術支援・協力に関する活動状況・方針等について述べた。また、今回の日本側の参加各社は、日本の現代テクノロジーのトップレベルにあると述べた。
 
(5) 「日本造船業・舶用工業の紹介」として、寺西 勇(社)日本中小型造船工業会副会長から全般説明を行った後、日本側出席者から造船会社、舶用メーカの順に、各社の主な活動、事業について紹介があり、その後、オセアニア諸国の出席者との質疑応答に入った。主な質疑応答は以下のとおり。
 
質問 1
 横浜ヨット(株)では、パンフレットの10ぺージに掲載されている船を現在も建造しているのか?
回答 1
 このような特殊な用途の船舶を現在も建造している。
 
質問 2
 新潟鐵工所(株)のインドネシア向け客船に関心を持っているが、こうした客船を建造しているのか?(フィジーからの出席者から)
回答 2
 昼食時に、新潟鐵工所(株)から詳細な説明を行いたい。
 
(6) 「オセアニア諸国における船舶の活用」として、オセアニア各国より国名のアルファベット順にプレゼンテーションがあり、その中で各国が現在かかえている課題や問題点についても説明があった。各国の提出資料の和訳を添付する。








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