第1回ユニバーサルトイレ調査委員会
[テーマ] ユニバーサルデザイン・バリアフリーの考え方
日時:2000年10月18日
場所:日本財団8階 第3会議室
■趣旨説明
森田 超高齢化社会の中でトイレは大切だ。健常者にとってもトイレは大切だ。トイレについて意見を聞くことを通し、その問題に果たす日本財団の役割が、何か出てくる可能性があるのではないか。
トイレをテーマにディスカッションし、実態を調査する中で、新しい答えが出てくるのではないかと期待を持っている。施設を全国に提案し、モデル事業という形でできればよいと考えている。
■ユニバーサルデザイン・バリアフリーについて
|バリアフリーと公共トイレ|
小滝 車いすマークのついた障害者用の公共トイレの設計基準みたいなものを作り、自治体で基準づくりが始まった頃、つまり昭和50何年頃かの建設省でまちづくりの技術基準を作りたいという時に、大体2m角で、手摺りがついて、洋風便器という基準パターンができた。その頃は主として、車いす、松葉杖、片麻痺で杖歩行までが射程に入っていた。当時車いすに乗って街に出る人は、車いすの操作能力が高く、若い人で脊髄損傷で力もある人だったから、その人たちが対象だった。当時はトイレの利用(建物)の範囲を広げたつもりであったが、もう少し不自由な人はどうするかということについては曖昧なままできたため問題として残っていた。
最近では、電動車いすの人が街に出るようになったが、便器に乗り移るのも大変だ。そのため、もともと想定していたやり方では収まらない問題があるのではないかと気になりだした。数年前から電動車いすの方に話を聞いたり、使いやすい公共トイレで動作をしてもらったりして、少し問題がわかった。
検討すべき課題として、
1] 利用者の多様化(使う側の人にバラエティが出てきた)。
2] 多目的トイレの検討(多目的トイレは日本独特の発達の仕方だと思う。実際にどう使われているか)。
3] 公共トイレ一般の管理・メンテナンスの問題。
小林 トイレは安心して使えるよう、清潔な場所に、街の中でホッとする場所に作りたいと常々思っている。作り手としては、トイレすべてがそうなってほしいと思う。スペースをみんなに配分するのが私(建築家)の仕事。しかし以前は、身障者用トイレをどのように使っているのかわからなかった。彼らがどのように困っているのかわからなかった。想像しながら身障者用トイレを作ってきたが、果たしてこれでいいのかと思い調査をした。
その結果、初めてわかったことは、
1] 身体の不自由な方たちが排泄の自立を切望している。
2] それぞれに違う傷害の内容があるため、矛盾していて、Aさんに良いトイレはBさんには悪いトイレというようなことが起こる。百人百様の障害があり、多様化していて、平均というのは難しい。
3] 公衆トイレへの期待は同じ。安心して目の届くところで使いたいということ。
4] 女性のほうが苦労している。下着を全部脱がなければいけないという苦労。
5] トイレは排泄だけをするところではない。蓄尿を捨てたり、おむつの交換もする。
6] 管理上難しく、ホームレスが入りこんだり青少年の犯罪の場所になりやすい。