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2] 公開の原則

・情報(これまでの経験、できること、できないこと)

・検討過程(いまやっていること、次にやること)

・説明(幅広い人にわかりやすい内容で)

3] 配慮の原則

・そこに参画していない人のニーズに留意

4] 柔軟性の原則

・縦割りの再検討(ニーズに応える柔軟な組織)

・予算の単年度主義の再検討(スケジュール変更に応える柔軟な予算)

・事業計画とその修正

5] 納得の原則

・合意形成

6] 確認の原則

・現状への認識、現地調査

・計画(ニーズを反映しているか)

・現場(製作や工事への立ち入り)

7] 評価の原則

・以下の原則に特に留意して評価(参画の原則、公開の原則、配慮の原則、確認の原則)

8] 蓄積の原則

・評価情報の蓄積

・評価情報の分析、整理

9] 伝達の原則

・評価情報の関係者への伝達

・次の事業への情報伝達

・充分な情報提供

 

●利用者参画の仕組み作り

 

ここで示している考え方は、利用者参画での作業に必要なものと多くの部分で重なります。というのも、公共トイレは利用者参画で作る必要があり、より多くの人が使いやすい公共トイレを作るということは、実はその作業を安定して行えるような“利用者参画の仕組み”を作ることだと、私は考えているからです。利用者参画によって得られたものは、できた後の維持管理にもよい影響が期待できるでしょう。

また、九つの原則の中には、個別のトイレ作りの作業だけでは収まらないものが含まれています。それは、公共トイレを整備するにあたり、利用者参画による情報を蓄積し、それを他のトイレ作りに活用しながら進めなければならないと考えるからにほかなりません。個別のトイレ作りにしても、行き当たりばったりで行われてはならず、安定したルールのもとで行われることで、一定の品質が期待できます。

 

もちろん、この原則ですべてがうまくいくとは思っていません。「既存トイレをどうするのか」とか、「一般の建築物において、トイレの部分にだけ、このようなやり方を導入することは困難である」とか、「最初から限定されたスペースでは、自由な発想はできない」などといった声が上がります。しかし、かといってこれまでのやり方を繰り返していたのでは、いいものにはつながらないということも目に見えています。多くの場合に骨格となるのは、図1で示した手順であり、この骨格を押さえてあれば、あとは個別の事情ごとに柔軟に対応していいと考えています。

 

●既存トイレの評価情報を踏まえて

 

トイレは、スペースの問題があるだけでなく、器具、配管なども複雑に入り組んでいるので、その改造には大きな困難が伴います。しかし、たとえそのトイレ自体の改造にはつながらなくても、既存トイレの評価をすることには意味があります。その情報を整理、分析して多くの人が共有することができれば、少なくとも、初歩的なミスの繰り返しを防ぐことはできるでしょう。

 

 

 

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