高齢者の場合、洋式便座であっても、立ち上がる時、重心をかけて体を支えるための手摺りなどがなければ、腰や膝に負担がかかってしまいます。また、荷物や杖を置く場所がないと、身軽にトイレが使えないという声もあります。
身障者用トイレでは、先にも触れたように、一つのトイレですべてのニーズを充たすことはできません。手摺りの場所など、使いやすさは、その人の障害の種類や程度によって異なるからです。介助を受ける場合は、介助者がいっしょに入って動けるスペースが必要になります。また、比較的新しい建物の身障者用トイレは使いやすくなっているものの、古い建物では、身障者用トイレがあっても十分に使えない場合があります。便座が低くて移乗が困難だったり、洗面台が邪魔をして車いすのまま便器に近づけないなどのケースです。
また、オストメイト(人工肛門や人工膀胱を使用している人)にとっては、便や尿をためておくパウチ(袋)の中身を捨て、洗浄しなければならないことがバリアになります。現在、試作的に、温水洗浄便座のように便器の中にノズルが出ていて、それで洗う仕組みになっているものがあります。しかし、今もなお、蓄尿・蓄便の処理をする際に、脱いだ服をかけておく場所がないなど、外出時の排泄物の処理は大きな課題です。