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ご挨拶

 

今世紀、わが国は人類が未だ経験したことのない超高齢社会を迎えます。誰もが必然的に老いを迎え、身体にハンディキャップを持つ可能性があるという考え方に立った場合、家屋や公共施設などの建物はもとより、移動するための車や鉄道など、これまで言われてきたような、「障害者用…」「高齢者対応…」などといった特別なものではなく、老若男女を問わず誰もが快適に使える、いわゆるユニーバーサルなデザインの考え方が求められています。

国の施策においても「高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(通称ハートビル法)」や「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(通称交通バリアフリー法)」が制定され、今後、障害をもった方々の移動が一層促進されることが予想されます。

そんな中、公共のトイレの位置づけもこれまで以上に機能の充実や快適さが求められます。しかしながら、トイレという極めてプライベートな空間という特性からか、トイレの用いられ方とそれに応じて要求される性能に関する情報については必ずしも十分であるとは言えないのが現状のようです。

また、障害をもった人たちは使えるトイレがない場所へ行く日には水分を控えたり、外出そのものをあきらめてしまうなど現実はまだまだ多くの問題があるようです。このようなバリアをなくすために一つでも多く「誰にでも快適で使いやすいトイレ」の整備を行うことが急がれています。

日本財団では過去さまざまな福祉に係る調査や研究の事業に自ら取り組んできましたが、今回は、人々が生活するなかで、最も基本的で重要な施設(設備)であるトイレに敢えて着目し、「誰もが快適に利用できるトイレ」をテーマに調査を行いました。

この報告書がトイレの設計・施工にあたって“こだわり”をもっていただく一助となり、一つでも多くの「ユニバーサル志向のこだわりのトイレ」が出現できることを願っております。

最後に本調査にご尽力をいただいた委員の皆様をはじめ、ご協力いただいた多数の方々に、報告書の発刊にあたり、謹んで御礼を申し上げます。

 

日本財団

会長 曽野綾子

 

 

 

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