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こちらは、先ほどの丸木船を使った体験試乗会の様子です。(スライド16)当初これを企画したときに、私どもの学芸員は実際に浮くのか、何人ぐらい乗れるのかという不安を持っていたんですけれども、削るときに、年輪をどういうふうに使うかで問題を解決することができました。木の年輪の密度の濃いところを船底の部分にして、反対側のところを削っていく。その分だけ重心が下がり、安定度が増します。それができない場合は、両サイドのところの木をもう少し薄くして、船底部分を厚くすることによって船自体の復元力を高めることができます。実際に乗ってみますと、市販のカヌーよりも、どちらかというと安定性がよくて、参加された方たちにも好評を得ています。

あと、来年度実施したいと思っておりますのが、小学生を対象とした帆船の体験試乗会です。これまで安全を考慮して小学校の高学年以上の方を対象に行なっておりましたが、7月20日の海の日前後の夏休みに入る時期に小さなお子さん方にも安心して風の力で走る船、ヨットとは違ってみんなで協力して、セールを上げたりですとか、そういうことを行える船を体験できるものを行っていきたいと思っております。

ちょっと早口で申し上げましたけれども、私どもで行っております事例としては、大体ただいま申し上げたようなところで、先ほども申し上げましたけれども、日本という国は海に囲まれていて、海や船から多くの恩恵を受けています。しかし海と人間の住むエリアが岸壁で隔たれていたり、日常の生活の中に船や、海とのかかわりを持つ機会が少ない現状の中で、この総合的学習という時間を有効的に使って、なるべく子供たちにもう一度海のことだとか、船、当然川のこと、水のことを関心を持っていただけるような事業を、私どもとしては進めてまいりたいと思っております。

ただ、先ほど知水館の先生もおっしゃっていましたけれども、やはりこういうのは博物館、資料館の人間だけで行えるものではないと思います。私どもでは、こういうふうな事業をやっておりますが、総合的学習としてプログラムを前もってつくる予定はございません。こういう事業をやっていて、お子さん方、先生方、自分たちがこれを使ってどのような授業ができるのか、どういうものが発見できるのか、そういう主体的な形のものをお受けしていきたいと思っています。展示場の中には非常に貴重なものがたくさんあります。場合によっては、それを収蔵庫から出して学校に持っていって見ていただくこともできます。実際に来ていただいて、船に乗って体験していただくこともできます。ただ、その過程の中にはやはり、私どもは比較的大きな館ではありますけれども、小さな資料館、博物館につきましては指導する先生方も非常に少ない、また、出ていくのも大変だというところもあるかと思います。そういうときには、やはりそれを奮い立たせてくれるのは、子供たちの熱意と先生方のご協力ではないかと思いますので、来年から本番になりますけれども、博物館に勤めておる職員として、これからもいろいろご指導いただきながら協力して事業ができるようにしていければと思います。よろしくお願いします。

 

 

 

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