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1. 主催にあたって/寺島紘士(日本財団 常務理事)

 

皆さん、こんにちは。

本日は、私どもの第3回の「海、川、水が教えること、総合的な学習の時間」への提言ということでセミナーを開催しましたところ、小中学校の先生方、それから高校の先生方、それから博物館の学芸員の方々など多数の方々にご参加をいただきまして、ありがとうございます。

地球の表面は7割が水に覆われていると言われております。これが海でございます。私たちの地球というのは、この宇宙では非常に珍しい水がたくさんある星、水の惑星というふうに言われております。この地球上には14億立方メートルの水があるということでございますが、その97.5%は海にございます。地球46億年の歴史の中で生命は海から誕生して、今、地球上では大変多様な生物が豊かにすむ生態系というものが形成されているわけですが、私たち人間もその生態系の一部であります。

我が国は、四方を海に囲まれておりますが、その海からさまざまな恩恵を受けております。海を輸送路して使う海上交通はもちろんでございますけれども、海の幸と総称されるような水産資源、それから海洋レジャー、それから私たちがこうやっていられる大もとのエネルギー資源である石油・石炭なども大部分は、今では海底からとれるものでございます。

しかし、海の恩恵というのはそういう目に見えるものだけではございません。私たちの生存に不可欠な水というものを考えてみますと、これは海を中心にして大きく循環しておるわけです。水は海から蒸発して、大気中で冷やされて雨となって、地上に行きまして森を育て、川となって田畑を潤して、最終的には海に下るという大きな循環がございます。

また、海というのは、この地球上、ほうっておきますと、昼間は大変な高温になり、夜になると大変に冷え込む。ほうっておけば、人間とか生物のすめないような環境でございますが、海というものがあることによって、そういう気温の変化が緩和されて、我々生物は生きていられるという意味でも、大変な役割を果たしているということです。一口で言えば、海がなくては、私たちの生活は成り立たないということであります。

ところが、20世紀の後半になりまして、世界のあちこちで沿岸域の海が汚染され、生物がすめなくなったり、魚や海草がとれなくなったり、あるいは魚がいても水銀やダイオキシンに汚染されているというような状況が起こってまいりました。

 

 

 

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