図5:実験装置。右側:円筒容器に水を入れ、その中に穴をあけたピンポン玉を沈める。左側:回転水槽。回転台の上にある円筒容器には水が入っている。
高気圧とは何か
それでは、高気圧とは何でしょうか。日本付近の天気図では、時計まわりの大気の渦巻きは高気圧になり、中心の気圧が高くなります(だから高気圧というのです)。この実験では、スプーンで時計まわりの渦巻きをつくっても、水面はへこみます。低気圧になるわけです。時計と反対まわりの渦でも、時計まわりの渦でも、低気圧になるのに変わりはありません。方、大気の渦の場合は、北半球であれば時計と反対まわりの渦巻きは低気圧ですが、時計まわりの渦巻きは高気圧になります。水の渦巻きでいえば、水面が盛り上がることになります。なぜ大気中では、このような変な現象が起きるのでしょうか。それは、地球が自転しているためなのです。そのことを簡単な実験で示したいと思います。
洗面器ほどの大きさの円筒形容器に水を入れて回転台に載せ、一定の回転数で(北半球の自転をあらわすように)反時計まわりに回転させてみます(図5の右手近くにある実験装置)。この容器は、日本付近の空気を切り取ってきたモデルと考えます。容器の底に日本列島があるわけです。
円筒容器の回転台に柱を立てて、その先に「地球を見る目」(小型ビデオカメラ)を固定して、上から容器が見えるようにします(図5では、まだテレビカメラを取り付けていません。取り付け部分のみが上部に見えます)。私たちは地球上から大気を観察しますので、その状態を再現するため、回転台の上にカメラを固定したわけです。
回転を始める前に、水面に小さな紙切れを浮かべておきましょう。この紙切れの運動から、水の動きがわかります。カメラに写った映像を見ると、回転を始めると同時に、紙切れは時計まわりに回転を始めることがわかります。実は、回転台が回転しても、中の水は(慣性で)静止したままなのです。そのため、紙切れも動きません。動かない紙切れを回転台に乗って見ると、時計まわりの渦巻きに見えるということです。この観察から、高気圧の渦は地表面の回転より遅い渦巻きであることがわかります。
しばらく待ちますと、水は容器と同じように回転するようになります。すると、紙切れも反時計まわりに回転するわけで、回転台に乗って見ると、紙切れは静止して見えます。大気でいえば、無風の状態です。そのとき、回転台の外側から回転する容器を見ると、水面の中心はへこんでいます。地球の上から見ると、このへこんだ形が水平面になるのです(専門用語では、ジオイド面といいます)。