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今年の2月頃、2浪目の極度の緊張感で力の抜けたようになった状況の中で次男はよく、「Oさん、どうしているかなー」と漏らしておりました。高校中退後の、足場のなくなったような不安感を受け止めてくださったOさんを、懐かしく思い出していたのでしょう。苦しい時にそばにいてくれた人のことは、絶対忘れないものだと強く感じました。

現在、大学生活3カ月がたち、期末テストを心配しておりますが(準備ができないと言って)、私に話せるだけでも楽になるのかなと受けとめております。そして、「引きこもり気味の人には、予備校もいいけど大学の2部がお勧めだよ、楽しいよ」と、自分の体験から話せるようになってもおります。

 

子育てで意識したこと

長男が2歳でぜん息になったので、次男の時はそうならないように気をつけたくらいでした。庭ではだしで遊んだり、泥いじりをしたり、あまり神経質にならないよう、おおらかな子どもになって欲しいという気持ちはありました。また、親からの圧迫のようなものがあっても、兄弟2人で助け合い、補い合って生きていってもらいたいと、虫のいいことを考えたものです。しかし、自分ができないことを子どもに求めるのは無理だとわかりましたので、まず自分の負けを認められるようになりました。

 

今だから言えること、言いたいこと

私がこうして生きていられるのは、子どもの不登校、引きこもりを通して多くの方との出会いに恵まれ、助けられたからだと強く感じております。人との出会いを大切にし、その気持ちを持ち続けようと思います。親の会があって、そこへ行けばだれかに会え、なんでも話すことができたこと、そういう場を持てたことが、今はとてもありがたいことだと思います。

日本の家族の中では、世間的に都合の悪い所は隠そうとする力が強く、問題が出てきても、他人の力を借りようとする意識も低いように思います。家族の中で解決しようとすると無理があり、どうにもならないで時間ばかりがたってしまいます。子育てにしても、親の介護にしても、親や家族だけでできるものではありません。他人と、肩の力を抜いたお付き合いをするうちに、自分がいかに生きるべきかわかってくるかと思います。

 

 

 

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