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しばらくそんな日を過ごしていましたが、時期的には運動会でもあったし、本人は運動会には出たいと言っていました。実際、運動会には参加することができたので、これでもう学校へ行けるのかな?と期待しましたが、結局は登校できませんでした。

 

つかの間の親子登校

運動会も終わり、10月になりました。先生から「親子登校をしてみませんか?好きな時間だけでもいいですよ」と言われ、息子の決めた時間だけ親子登校をすることにしました。担任の先生はじめ、学校中の先生が温かく迎えて下さり、最初のうちは本当になぜ学校がイヤになったのか不思議に思いました。

しかし11月の初め、ついに私までもが不登校になってしまった授業が展開されてしまったのです。

授業は道徳、テーマは「隣の国韓国」。そうです、息子の担任の先生は在日韓国の人でした。「1、2時間目はビデオを見ましょう」と先生が言われたので、どんなビデオかなと思っていると、アニメではあるものの、内容は強制連行についてでした。

さあ、いよいよビデオも終わって3時間目です。研究授業だったようで、校長先生はじめ、低学年部の先生方が後ろの席へつかれました。まず、前の黒板にハングル文字が並んでいて、子どもたちは先生の後についてハングル語で、「お母さん、私は祖国へ帰りたいです。みんなに会いたいです」といった内容の文章を読みました。そして、そのあと延々と4時間目までも、子どもたちはこの問題について授業を受けたのです。

歴史的背景も何も知らない、まだ小学2年生の子どもたちには、ちょっと難しすぎるのではないかという疑問を持って、校長先生にこの授業をなぜ許可されたのかを問いますと、「私は知らなかったのよ」との答えが戻ってきました。研究授業で取り上げている授業に対してこの返事はなんたるお粗末な!と怒りがこみ上げてきました。もちろん教育委員会へも相談しましたが、結局、「一度先生のほうに確かめる」と言われたきりで、その後なんの連絡もありません。

先生もお気の毒だと思いました。きっとこの担任の先生は、最終的には「隣の国韓国ともっと仲良くしていきましょう」という目的を持っておられたと思うのです。ただ方向性に、ちょっと無理があるように思いました。もっと他の先生方もいっしょになって考えるべきではないかとも思いました。

4時間目もこの問題と向き合ってしまった私は、とても苦しくなってしまい、また悲しい気持ちになりました。もちろん、明日からまた元気に子どもと登校なんてできそうになく、子どものように泣きながら家に帰りました。

つまり、親子不登校の幕開けとなったわけです。

 

親子心中まで考える

不思議なもので、親が苦しいと同じように子どもも苦しいようで…。今までには見られない行動を息子がとるようになりました。

息子は一日中毛布にくるまったり、ヘリコプターの音を聞くと「あれで戦争したんでしょ、お母さん」と言っては泣きました。当然、食欲もなくなり軽い脱水症状を起こし、ものの見事に目は落ちくぼみ、唇はカサカサの状態になりました。なんとか食事だけは…と思い、一日に何十個と必死で親指握りを作りました。

 

 

 

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