日本財団 図書館


心と体を癒せる場所を見つけて学校に戻れた息子

父親・母親

 

不登校期間 小学5年1学期〜小学6年2学期 11歳男子

 

《家族構成》

066-1.gif

 

父親として、息子の4年生の3学期から6年生の3学期までの2年間のことについて、大筋をまとめてみたいと思います。

 

イジメがきっかけ

本人は、4年生の3学期に5人グループの中のいじめで仲間はずれにされ、精神的ショックを受けたのがきっかけで、それまで当たり前で大丈夫だったことがそうでなくなるのを感じるようになった。不安が先行して疑心暗鬼になる。当たり前のことが当たり前にできるゆとりを失い、最低限の自信のようなものがぐらついてくる。

そんな精神状態が原因なのだろう。本人は家族の前でさえも、つばをしきりに飲み込むような感じで、言葉も普通に話せない。脚が痛い、おなかが痛いというような、身体的症状も出てきた。親としても初めての経験で、どう対応したらいいのかわからない。

5年生の1学期、初めはそんな状況の中でも、本人は登校していた。しかしまともに歩けず、脚を引きずって歩く姿がクラスメートには大げさに見えたらしく、そのクラスメートたちの反応にまた大きな精神的ショックを受け、3日間登校した後は全然登校できなくなった。そして小学生(特に男子)と顔を合わせることを、極度に恐れるようになってしまった。

このように不登校状態の生徒は、疑心暗鬼のあまり、ますます悪い精神状態に陥ってしまうという悪循環を繰り返すことになる。とても、周りの人に対して心を開いて、自分の気持ちを伝えられるような精神状態ではないということを理解して欲しい。

 

自然楽校とクラスメートへの手紙

しかし、本人は5年生の2学期から、自然楽校へ行くことができるようになった。ここでは学校とは違い、自然と触れあい、自然を感じ、生活し、行動するという環境の中で自分を表現する場が与えられ、一歩一歩少しずつ自信を取り戻していった。

そして6年生の初め、自然楽校の門川さんのアドバイスを受けて、次のような手紙をクラス担任の先生に渡し、クラスメートに伝えていただくことにした。

「私は、□□□□の父親です。みなさんと同じクラスになった□□のことについて、みなさんにお願いしたいことがあってこの文を書いています。みなさんの中で知っている人もいるかもしれませんが、□□は5年生の時、最初の何日かしか学校に行くことができませんでした。

みなさんは、本当に気持ちが参ってしまって、体が変な状態になって、なにか変な歩き方になったり、つばを何回も飲み込んでなにか変なしゃべり方をしたりしたことはおそらくないと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION