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実行上の問題点:必ずしも全ての船舶に機械的なホールドヴェンチレーターを有するとは限らず、船舶の選定時に検討・考慮が必要となる。

(B-5-i) (非常時の)連絡体制の確保・連絡

概要:貨物の性状や運航方法について充分な理解を有する者等との連絡体制を確立し、緊急時には、速やかに連絡する。

実行上の問題点:特に無し

(B-5-ii) (荷崩れ時の)針路変更・減速

概要:操船により横揺れを低減させる。波浪(波/うねり)との出会い角及び出会い周期を調整することにより横揺れを最小限に留める。

実行上の問題点:荷崩れを解消する決定的な手段とはなり得ず、更なる荷崩れを極力防止するための一助に過ぎない。

(B-5-iii) 荒天回避

概要:緊急入港をも勘案し、可能な限り、荒天を回避する。

実行上の問題点:(B-5-ii)「(荷崩れ時の)針路変更・減速」に同じ。

(B-5-iv) バラスティング

概要:荷崩れによる船体傾斜を修正するために船体傾斜の反対舷にバラストを注水したり燃料を移動すること(カウンターバラスティング)の危険性を予め乗組員に周知しておく。

カウンターバラスティングは、既に荷崩れを起した貨物が船体動揺によって反対舷(すなわちカウンターバラスティングした舷)に移動した場合、さらに大きな傾斜を生じさせることになる。特にTop Side Tankへのカウンターバラスティングは復元力を低減させ、貨物がカウンターバラスティングした舷に移動すると、最悪の場合、転覆に至る危険があるので、絶対に避けるべきである。

やむを得ずカウンターバラスティングにより船体傾斜を修正する場合、その方法・量について慎重に検討し、カウンターバラスティング後の復原力を確認するなど適切な手段を講じなければならない。必要であれば会社へ連絡し、専門家の助言を仰ぐなどの措置を講じる。

実行上の問題点:船舶の傾斜が増大してゆく際のバラスティングの判断について、さらなる研究が期待される。

(B-5-v) 退船の判断

概要:荷崩れが発生したら、短時間で沈没に至る危険性があることを予め乗組員に周知しておく。全員が素早く退船できるよう乗組員を可能な限り船橋に集め(機関室の人数は最少限とし)、早い時点で救命設備を用意する。船舶の傾斜の増大が抑えられない場合は、退船を検討する。

実行上の問題点:船舶放棄の判断材料について、さらなる研究が期待される。

 

4 結言

本年度の調査研究により、安全対策を列挙し、安全上の効果及び問題点をまとめた。本調査結果が、ニッケル鉱の安全運送に資すれば幸いである。

 

 

 

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