(6) 容器の質量を測定し、供試体の質量を計算する。
(7) 供試体内の水は直径3.1mmの孔を通して30分間排水する。
(8) 排水後の容器の質量を測定し、供試体の質量を計算する。そして
(9) 排水後の試料の水分値を測定し、排水前と後の飽和度を計算する。
試験結果を表8に示す。
表8 日本が実施した液状化物質判別試験結果
4.2 ポーランドによる液状化物質判別試験
ポーランドも、DSC3/INF.6.に記述された手順で、液状化物質判別試験を実施した。供試体の大きさ及び締固めハンマーの落下回数を表9に示す。
表9 供試体の大きさ及び締固めハンマーの落下回数
供試体の大きさが異なるため、日本の実験とポーランドの実験では、排水に関する条件が異なることに留意されたい。また、締固め仕事量、即ち単位体積当たりの締固めエネルギーが同じであっても、日本の実験とポーランドの実験では、厳密に言えば締固めの条件も異なる。
試験結果を表10に示す。
表10 ポーランドが実施した液状化物質判別試験結果
4.3 考察
沈殿方鉛鉱に関する排水後の飽和度の有意な差は、供試体の大きさの違いに起因する排水及び締固めの条件の差によるものと推定される。通信グループの作業では、液状化物質判別試験の再現性は確認できなかった。液状化物質の試料、即ち、鉄精鉱、銅精鉱、亜鉛精鉱について言えば、排水は僅かであった。日本の実験では、ガレナからの排水も僅かであった。次節で述べる通り、経験的に液状化物質では無いと判断される沈殿方鉛鉱と鉄精鉱の透水性には、有意な差は無い。また、沈殿方鉛鉱の運送許容水分値を決定することも可能である。このことから、沈殿方鉛鉱の液状化の可能性については熟考する必要がある。
ニッケルスラグの排水語飽和度は、他の試料のそれと大きくことなる。よって、試料は液状化物質判別試験における排水後飽和度により、液状化物質と非液状化物質の2つのグループに明確に区分できると言える。結果として、試験結果は、液状化物質判別試験は、固体ばら積み貨物の液状化の可能性の判定に、利用できることを示している。判定基準、即ち排水後飽和度70%は、合理的と結論できる。
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