「アメリカから、日本への電話です」
エビのおじょうさんは、きびきびと電話をつなぎました。
電話局の中は、しんとなりました。
やがて、電話線をとおしてこえがきこえてきました。
「もしもし?」
「はい、さくらいです」
「ようこ…げんきかい?」
「あっ、おとうさん?」
「おかあさんは?」
「おしごと…まだかえれないんだって」
「そうか…」
「ねえ、おとうさん。ようこのたんじょう日には、アメリカからかえってこれるでしょ?」
「たんじょう日…そうだったね。もうすぐようこは九さいになるんだね」
「そうよ。おかあさんが、いちごのケーキつくってくれるって、だから、おとうさん…」
「ようこ…ようこ、ごめんね。おとうさん、まだまだ日本へかえれそうにないんだ」
「………」
こえがとぎれました。
電話局の中も、しいんとなりました。
とつぜん、チョゥチンアンコウの局長さんが、むなびれをバタバタさせて、大きなこえをはりあげました。
「さあ、さあ、おまえたち、なにをしているんだい?歌だよ、歌。楽しくなる歌をうたうんだ!」
エビのおじょうさんたちは、局長さんのこえにピョコンとたちあがり、ひげをふりあげてうたいだしました。
ババババ ビビビビ ババッビブー
ようこそ、ようこそ、いらっしゃい
おめめはパパに、おくちはママにの
かわいい、かわいい、わたしの子