エンプレス・オブ・アイルランド号は、現在、リムースキの街の沖合四キロメートルの地点の、水深四十メートルの水底に、右舷を下にして半分推積物に埋もれて沈んでいる。
沈没直後の潜水作業によって、遺体や重要な貨物類はほとんど引き揚げられている。
一九六〇代年に入り、アクアラングの普及と共に、沈没船探検を目的として一般のダイバーが時々沈んでいるアイルランド号を訪れるようになった。
しかし、毎時五ノット(秒速二・五メートル)以上の強い流れと、一年を通しての冷たい水温に妨げられて、十分な調査や探検も出来ずに終わっている。
セントローレンス川の低い水温と淡水である事が幸し、アイルランド号の船体の腐食はあまり進んでおらず、沈没後八十年以上も経った現在でも、当時の巨大な船体と室内の様子を十分に窺う事が出来ると言われている。
参考文献
1. The Tragic Stofy of the Empress of Ireland
L. Marshall Patrick Stephens LTD
(Original Print 1914)
2. Famous Sea Tragedies
V. Dyall Hutchinson
3. Lost Liners
R.D. Ballard Hyperion・Madison Press Book
4. Shipwrecks
K. Faringyton Thunder Bay Press
5. Canadian Pacific
G. Musk David & Charles
6. Disasters at Sea
M.H. Watson Patric Stephens Limited
7. Ocean Stemers
J. Adams New Cavendish Books
(a History of Ocean-Going passenger Steam Ships 1820-1970)
8. Great Passenger Ships of the World Vol.1
A. Kludas Patric Stephens LTD
