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なぜかというと、戦前の贖罪を全然しないままバスに乗る、乗らないかというのは別の問題があるわけです。これは日韓協定を見ても同じなのです。

ところが、例えば2年前のミサイルのときは、Dさんの方がよくわかるのですが、国会は全会一致で制裁決議をしてくれたのです。私はびっくりしました。まさかアメリカが後押しをしてやったわけではないと思うのですが、そんなことが起こり得るということに非常にびっくりしたのです。こういう日本の一種の国民意識についてどのようにお考えでしょうか。

 

キル 金正日の心の内を正確に読める人はだれもいないと思います。みんな憶測に基づいていろんなことを考えている。

そして、現在合理的な国家として合理的な意志決定を北朝鮮はしていると思います。合理的な現実というのは経済支援、食料、エネルギーを必要としている。しかも、それを自力で賄うことはできない。寛大な韓国がいる。そして、韓国を無視してはワシントンや東京に直接アクセスすることはできないということも北朝鮮は十分わかっています。ですから、かなり合理的な環境下で北朝鮮は今は判断を下していると思います。

同じように、合理的な観点から、中距離ミサイルを北朝鮮としてギブアップすることはとてもできません。唯一安全保障で基本的な保障をしてくれているのがミサイルであるわけですから、ミサイルをギブアップするというようなことを言い出したら、かえって私は驚くでしょう。ですから、この点も履き違えないことが必要であると思います。

それから、中距離、長距離のミサイルについてであります。長距離ミサイルの開発にはプーチン氏もかかわっていると思いますし、特に長距離ということになると、アメリカももちろん関心を持っていると思います。

しかし、最近のミサイル技術移転、ロシアからインドに移転したのもありますし、アメリカから中国に移転したのもありますが、みんなこの技術移転だけでは済みません。移転をすると、移転を受けた先の国というのは自らのミサイルの改良にちゃんとそれを役立てているわけです。

ですから、たとえそのミサイルがほかの国によって発射されるということになっても、移転がある限り、一部はその国の持っているミサイル能力のアップにつながるということです。長期的なプロセスにはなりますが、この点も履き違えることなく十分検討することが必要であると思います。

 

司会 随分時間オーバーしてしまいましたが、長い時間おつき合いいただいてどうもありがとうございました。先ほど申し上げましたとおり、キルさんは来年まで私どもの財団におりますので、こちらにお立ち寄りの際は私どもの方にご連絡いただければというふうに思っております。

それでは、本日はどうもありがとうございました。(拍手)

 

[文責事務局]

 

 

 

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