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1、 外交政策における地方自治体の役割

(1) 「国益」の再定義

1) 世界的潮流:グローバリゼーション・都市化・地方分権により、国家の求心力が弱まる。世界は今、国家の分裂と統合による再編成期にある。

2) 「国益」の定義の変化:

従来 「国益」=「国家益」+「国民益」

近年 「国益」=「人類益」+「国家益」+「地域益」+「国民益」。

(2) 多元的外交

1) 各々の利益代表が外交主役となり、多元的外交が展開されるようになる。

「人類益」→「国際機関」

「国家益」→「政府」

「地域益」→「地方自治体」

「国民益」→「非政府機関(NGO)」

2) 国家の権威が揺らぐ中で、危機感を強める「政府」は、「国際機関」「地方自治体」「NGO」の3グループの利益を調整することで、より多くの「民意」を糾合し、国家としての総合的な外交力を形成しようと試みる。

3) 北東アジアおよび日本の動向

資本主義・社会主義を問わず、強力な中央集権国家が集中する地域。利益の概念としては、「人類益」「地域益」「国民益」が、利益代表としては「国際機関」「地方自治体」「NGO」が、新たに登場。特に「地域益」→「地方自治体」で、大きな変化が予想される。

 

2、 日本における自治体外交の動向

(1) 姉妹都市交流

1998年4月1日現在、全国3300の地方自治体の内、39都道府県と832市区町村が、世界58ヵ国で1304の地方自治体と姉妹都市提携。第1位アメリカ(30%)、第2位中国(19%)、第3位オーストラリア(6%)、第4位韓国(5%)。

(2) 財政規模

1995年、全地方自治体の国際交流関係経費:1200億円(地方単独事業のみ)。88年比で約5倍。内訳:住民の国際理解の推進41%、各分野での国際交流23%、地域の国際化への対応17%、国際協力6%(約80億円)。95年以降多少減少、平成10年:1048億円。

(3) 歴史的変化

1) 70年代:政策交流・国際協力のための国際会議(1972年北海道で、寒冷地の都市間技術協力をテーマとした「北方圏環境会議」)。

2) 80年代:局地交流圏構想形成のための国際会議、調査団や専門家の派遣、研修生の受入(北海道:北方圏都市交流、東北・北陸・中国地区:環日本海交流、北部九州:環黄海圏交流)。

 

 

 

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