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結構大きなイベントらしいのですが、そこに呼ばれること自体が、会社の経営者にとっては非常な名誉です。もちろん家族も呼ばれ「自分はよくやった」と納得するわけです。

彼らが、なぜ自らを系列と呼んでいるかというと、日本の企業を勉強した結果だそうです。日本の系列を勉強して、アメリカにはそういう系列がないのでつくりたい、そういう意向です。これは純粋なベンチャー・キャピタリストとは違います。KPのパートナーは全員が金融出身ではありません。ほとんどが技術者ですが、サイドファンドをもらって会社を設立しています。

もう一つ彼らが誇っているのは、こういう一群の会社を通じて、何十万人という雇用を生み出したという点です。彼らをベンチャーキャピタリストと言ってしまうと、トラディショナルなものと区別がつかなくなってしまいますが、少し違った動きをしています。それは、系列企業、ファミリーをつくろうとしているところです。このようなところでは、大企業も中小企業も関係がない。良いアイデアをもって出てきた会社が成功する。そして、ネットワークの中で育ちあう。そういう形をしています。

3番目のビジネスモデルの役割で、先ほど、企業は総合力ではないという話をしましたが、これからの情報化社会(DI社会)での競争力は、「顧客へのフォーカス」「バリューネットワーク・マネージメント」「俊敏性(アジリティー)」「トラスト」の四つのファクターで表現されます(資料20頁)。

「顧客へのフォーカス」というのは、お客さんにどの程度フォーカスをあてた活動をするかを指します。「バリューネットワーク・マネージメント」とは、バリューチェーンではなくて、バリューネットワークをどのようにマネージメントしていくか、「トラスト」とは、企業と顧客の間のトラスト、企業と社会のトラスト、企業と従業員の間のトラスト等すべてを含みます。

この式のミソは、トラストがカッコの外へ出ていることです。それは、他の項目全部にかかるという意味です。また、アジリティーは、「顧客フォーカス」と「バリューネットワーク・マネジメント」にかかります。

トラストにおいて一番重要なのが「ブランド」です。ネットワークではお互いの顔が見えません。ですから、ブランドをどう確立していくかが、大きな競争力の要因になるというモデルです。ビジネスモデルで、このブランドをうまく確立できれば、大きな成功要因となる社会と言えます。

 

 

 

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