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NGOに比べ、地方自治体の援助の歴史が浅かったこともあるが、国会においては予算委員会、決算委員会、外務委員会等において地方自治体の国際協力や援助が審議、調査されることはほとんどなく、また地方行政を扱う委員会においても審議や調査の対象は地方自治体に直接関連する案件がほとんどであり、地方自治体の国際協力、援助は国会においては審議、調査の対象になりにくいという意味でいわば盲点であったと言えよう。

グローバリゼーションの時代と言われる今日、外交の主体は、これまでの政府のみではなく、企業、地方自治体、NGO、個人と拡大してきた。換言すれば、これまで政府の専管事項とされてきた外交の意味が拡大されてきたと言えよう。同様に、援助外交においてもその主体の多様化は大きく進展している。

しかし、政府、実施機関、地方自治体、NGOの4者の様々な形での連携ができているかと言えば、まだまだ不十分であると言わざるを得ない。ODAが政府と政府の交渉により決定されるものである限り政府及び実施機関が主体となろう。そして、これにNGO、地方自治体が参加してより効果的、効率的なシステムを構築していく必要があろう。また、地方自治体としてもODAをとは別枠で独自にあるいはNGOと連携し、援助システムを構築していくことも不可欠である。さらに、国会においても、援助外交の多様化という観点から、地方自治体の活動の重要性を十分認識し、地方自治体が様々な形で国際協力、援助を行い得るよう法的根拠を付与するなどの検討を加えていくことが今後の課題となろう。

 

(1) 第104回国会参議院外交・総合安全保障調査特別委員会外交小委員会会議録第1号9〜10頁(86.2.14)

(2) 第112回国会参議院外務委員会会議録第1号19〜20頁(88.3.28)

(3) 第75回国会参議院外務委員会会議録第14号13頁(75.6.17)

(4) 同前第14号20頁

(5) 同前第16号2〜3頁(75.6.26)

 

 

 

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