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世界都市東京フォーラム「歴史と文化からの考案」会議録

 事業名 基盤整備
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


青木 第2回の会議をこれから開きますが、今日は、森まゆみさんと川本三郎さんにお話をしていただきます。最初は森さんからお願いします。

 

〔谷中・根津・千駄木の事例〕

 

森 私が発行しているのはこのA5判の季刊の雑誌「谷・根・千」です。私は、16年間の町でのささやかな実験について報告したいと思います。

 

谷中・根津・千駄木の町の特色

 

私は、女性3人で1984年(昭和59年)の10月に地域雑誌「谷中・根津・千駄木」を立ち上げました。最初は、本文8ページしかない、ほんとうに薄いものでした。最初から、陣内先生にはご意見、ご協力をいただいております。

どんな町だったのか、何でこの雑誌を出すに至ったかと言いますと、ここは文京区、台東区、荒川区、北区の区境で、非常に行政サービスが悪いんです。どこの住民たちも「文京区のチベット」だとか「台東区のチベット」と言っています。地区によっては図書館もないし、保健所など行政施設もない。永田町の論理と同じで、文京区ですと、「春日町の論理」があって、春日町まで何でも来いというのです。大手町乗り換えでないと行けなかったりするのです。谷・根・千は実は、非常に便のいいところで、山手線の内側、地下鉄千代田線で大手町へ6分で行けるところですが、区役所からはそう見える。

都心の空洞化、ドーナツ化現象で、30年代は、大体どの区もほとんど同じ面積で同じような人口なのです。文京区の場合、大まかに言いますと、昭和30年代に26万人ぐらいいた人口がバブル前には、16、7万ぐらいまでに減ってしまっていた。それに65歳以上の高齢者が24%以上います。でも、今は皆さん元気ですので、あまり問題には感じられませんが、超高齢化地域です。もう1つは、震災と戦災にもどうにか焼け残った、東京でも非常に希有な地域だということです。

一方、買い物の利便性のことで言いますと、古い町ですので、スーパーを出店させないということで、大型店舗もなかなか入ってこられない。昔からあるささやかな商店街の値段が大変高い。だから買わないので、質が悪くなる。それでもなおかつ横柄という悪循環があります。例外的な商店街もありますが。

上野公園から谷中墓地へかけて、お寺が100ぐいあります。緑地マップを見て思うんですが、山手線の沿線、上野から鶯谷、日暮里にかけて、濃い緑のところが谷中墓地です。3万坪あり、ほかの緑のところは寺地、お寺です。お寺の間に民家が建ってできたような町なんです。そこから下がりますと、根津の谷間になります。この辺には昔から手仕事の職人さん、鎧や刀、人形をつくったり、いろいろな方がいらっしゃいます。そして、古いコミュニティーが強い。このコミュニティー崩壊がいわれる今日、ありがたい面もありますが、風通しの悪い面もあります。これはこの町が、大正の震災、昭和の戦災でも焼け残り、建物ばかりか生活様式やコミュニティもわりと残っているということです。

もう1つの特徴は、地下鉄千代田線が昭和43年に開通してからは、東大関係者もほとんど半分は根津を使っています。本郷三丁目と二分していたのですが、最近は南北線ができまして、東大前という駅も使われています。

それから、上野の山は、明治以降、寛永寺の跡地が文化の森ということになり、いろいろな教育施設や展示施設ができました。また、博覧会に使われ、明治20年代には東京美術学校と音楽学校が出来て芸術家が多く住みましたが、谷をへだてて本郷の山は東大を中心に、学者や文化人が多い町になっています。

マイナスの面とプラスの面といろいろあるんですが、これをどうプラスに変えていくか。それがどんどん良さが失われて、古いものもなくなり、それに気付く人もいなくなり、古老もいなくなりました。記憶が消えてしまいそうだということで、84年に私はこれを、消える前に記録だけでもしたいし、できたら残したいということで仲間をつくって雑誌を始めたわけです。

 

イメージの転換

 

始めたころは、本当に町のどの人に聞いても、さえない町でした。

 

 

 

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