日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 社会 > 成果物情報

世界都市東京フォーラム「歴史と文化からの考案」会議録

 事業名 基盤整備
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


「グローバル」都市の条件

 

建物だとか街のつくりというのは、そこに住む人々の生活のありようを当然、街の形が緩やかに形作っていくと思いますが、同時に、新しい人が入ってくれば、空間の使い方が変わります。しかも、建物の使い方が変わって、場所の持つ意味が変わってきます。結局、世界都市と言われるようなところは、人も物も常に流動的に動いていますから、その変化は確かにダイナミズム、文化のバイタリティーを生み出す温床になる。同時に、それを側面からサポートしていくようなシステムがないとカオスになっていく。この両面の非常に危ないところも抱えているものと思います。

また、特に現代の現象としては、都市に住んでいる人たち、ビジネスのためにいる人、観光のために来る人、さまざまな人がいる中で、特に、住んでいる人たちは、いろいろな権利を主張する。時代と現実の状況に即した望ましい社会像というものをある意味で象徴してくれる。そういう役割をその都市に期待するという動きがすごく強くなってきていると思います。

イスタンブールの場合もそうなんですが、社会変化があまりに激しく、さまざまな要素が流入してくる。かつての栄光のイスタンブールが見えにくい。住みにくい。汚くなっていく。よそ者は入ってくる。では、イスタンブールとは何なんだ。住みやすいトルコを代表する都市ではなかったのか。都市というのは一体、だれのどういう文化をリプレゼントするべきものなのか、そういう理論にいってしまう。そうなりますと、これは一つの議論としてはわかるのですが、世界都市というからには、一つの国というものを超えた都市としての性格が歴史上、綿々と積み重ねられてきているものですから、文化の議論になったときに、この国の文化をリプレゼントするのが都市かというと、そうではない部分がやっぱり入ってくると思います。

ですから、世界都市というのは、一国の歴史や文化というものを超える、開かれた性格を持つことがおそらく望まれるのだろうと思います。ここで都市の変化を側面から支えていくような政策の必要性がおそらく出てくるだろうと思っています。

まず、栄光のイスタンブールといいますか、間違いなく世界都市であった19世紀末から20世紀初めまでの状況を見ますと、都市の魅力は、都市自身は動かない文化資本で、それ自体は動きませんから、その魅力を発信する、わからせる、伝えるという努力が絶対に必要だと思うのです。

オスマン帝国時代には一体どういうふうになっていたかといいますと、ガラタ地区に最も早く外国人が住みついた。特にギリシャ人が多かった。ここのギリシャ人を中心とする外国人コミュニティーがイスタンブール旅行をかなり早い時期から計画しています。資料が非常に多く残っています。1800年代の初めあたりから、とりわけフランス、ロンドンの旅行者に対して、イスタンブールの旅を紹介するような、試みをしています。これは、彼らが独断でやったのか、あるいは、言葉の問題がありますので、外国人の協力を得てやったのか、わからないのですが、少なくともギリシャ人を中心とする外国人コミュニティーが旅行ビジネスに非常に深くかかわっています。フランス語で書かれたイスタンブールを紹介するチラシ、ポスターが非常に多くつくられ、同時に、イスタンブールで、交通機関、ホテルをどんどん整備していく。逆にオリエンタリズム的なイメージを、逆手にとって、かなり利用しています。ポスターにもそのイメージを当然強く使いますし、それはなかなかに賢いやり方といいますか、よくやっていると思います。

非常におもしろいのは、外国に対してイスタンブールという街をプロモートするものもありますが、同時に、国内のブルジョア向けに、ヨーロッパ旅行のパックツアーがある。これは非常に早く、1862年に計画されて、63年に150人のツアーで募集されています。イスタンブール―パリ―マルセイユ―リヨン―ベルサイユ―ロンドン―ベルギー―ドイツ―ウィーン―イスタンブール、こういうルートで回り、75オスマンポンドです。現在の価値に直しにくいのですが、寄宿生活をする外国のリセに1年間入りますと、授業料、寄宿料すべて込みで大体45オスマンポンドと言われていますから、いかに高いかということがわかります。これだけのことを国内のブルジョアに向けてやっています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
1,026位
(32,679成果物中)

成果物アクセス数
9,901

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2020年11月28日

関連する他の成果物

1.「SYLFF WORKING PAPERS NO.15」ビデオ (http://www.princeton.edu/duke)
2.東京財団1999年度年次報告書(和文)
3.東京財団1999年年次報告書(英文)
4.海洋文化・文明に関する調査報告書(英文)
5.日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム ?第1回オープニングセッション?
6.日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム ?第2回世界の人々のアイデンティティ作りに役立つマンガ・アニメ?
7.日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム ?第3回マンガ・アニメ産業の存立基盤はSOHOにあり?
8.日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム ?第4回日本製マンガ・アニメが高い価値で世界市場で流通し日本にとっての収益源となるために、いま何が必要か?
9.日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム ?第5回マンガ・アニメで県づくり。新パラダイスは地方からスタートする?
10.日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム ?第6回日本製マンガ・アニメが更に発展するには何が必要か?
11.日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム ?第7回文化のローカライゼーション?
12.日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム ?第8回マンガ・アニメで県づくり。新パラダイムは地方からスタートする?
13.日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム ?第9回キャラクタービジネスのパースペクティブ?
14.日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム ?第11回ポップカルチャーが作る新しい勢力図?
15.世界都市東京フォーラム「技術からの考案」会議録
16.「日米韓安全保障協力:平時と有事の想定」
17.「米中両国にとっての朝鮮半島?日本の対朝鮮半島政策への含意」
18.Japan’s New Middle Eastern Policy
19.Policy Analysis Review
20.英文冊子 Intellectual Cabinet 2000
21.「国会におけるODA基本法の論議と地方自治体による援助の重要性」
22.Issues Series/論点シリーズ vol.18 「日本の外交安全保障戦略を考える」
23.Issues Series/論点シリーズ vol.19 「NPO法施行後の現状と課題」
24.Issues Series/論点シリーズ vol.23 「ビジネスモデルを通じた産業のダイナミズム」
25.Issues Series/論点シリーズ vol.26 「国民参加型外交の可能性と課題」
26.Issues Series/論点シリーズ vol.27 「これからの朝鮮半島の行方」
27.Issues Series/論点シリーズ vol.28 「マスコミによる経済事象の選択と報道」
28.Issues Series/論点シリーズ vol.29 「陳水扁新政権下の台湾政治」
29.Issues Series/論点シリーズ vol.30 「朝鮮半島の将来に日本が貢献できること」
30.「政策シリーズ」第18号「霞ヶ関1府12省体制は行革の決定通り進んでいるか?」
31.「政策シリーズ」第20号「金融監督政策の方向性について」
32.「政策シリーズ」第21号「COP6に向けた我が国の取り組み」
33.平成11年度里親研修会テキスト
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から