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非常時のバックアップ体制は全くできないということで、まず副都心をつくったならば、副都心に相応するようなライフライン、特に都市の供給処理施設をつくらなければ機能しません。

日常は、何とか毛細血管のネットワークでもっていますが、何かがあったら、もうもたない。脳梗塞がすぐ起こるようなライフライン網だということで、副都心を結ぶ大深度地下のライフラインは即PHIで採算が合います。そしてできる人が具体的におられます。やらせるような仕組みを考えなさいということです。

例えば、港区などに何力所かのアップゾーニングをします。例えば、都心、副都心に、平均200%アップしてその土地代を換算したとき、インフラとしての大深度地下施設のお金が即出てきます。都心、副都心に容積をアップゾーニングした分だけで、地下インフラの幹線、トンネルができます。

新宿だと30m以下、臨海部だと60mぐらいあるとかなりいい地層で素掘りできます。したがって、今1兆円でといいましたが、さるグループでは3,000億円ぐらいで、しかも大変簡単にできると伺っています。それから輸送と違い立坑でできます。立て杭を掘っていけば、水はサイフォンで上がりますからロスがありません。情報も100m潜って、また上がったとしてもロスがありません。人間が入るものにしますと、エスカレーターやエレベーター、あるいは交通安全のバックアップが大変ですが、ライフライン系であれば、上下の100mぐらいはロスがないということです。

なぜこういったものができなかったのか。大深度といえども、やはり民地の利用です。ところが法案ができ、すぐできる状態になりました。従って誰がこれをやるか、この前の都心再生推進懇談会で申し上げたのです。実はこの話は10年前から3回にわたって、内閣情報調査室に緊急提言として申し上げました。阪神・淡路大震災があって2度、緊急提言していますが、内閣情報調査室は警察畑で、緊急対策といえども2省庁程の調整が限度とか。大深度地下の活用は、10省庁にもまたがります。水、エネルギー、物流、情報から、完全に10省庁がひっかかり、とても動かないという話です。そのときの室長が、都知事と総理の2人に話をし、都知事と総理がその気にならないとできない話ですと言われました。

第1回目の懇談会で小渕さんと石原都知事が並んでおられたので、目の前でこの話をしました。石原都知事は、大臣のときに大深度地下の提案をしたところ通産大臣が反対し、この話はだめになったいきさつがあるというお話がありました。その後、森首相になったのですが、今やっと東京都の都市計画局にもこの話を通しました。大深度地下の利用ということが、わかりそうでわかりません。特にインフラの必要性に関しては、都市計画畑の人も、わかるようでわかりません。形に見えるものはわかりますが、情報とか水が出てきても全く関心がありません。

しかしこういう形で、都知事、総理へ直接に上げていきまして、都市局長もこういう場で議事録に残っていますと無視できないということから、やっと2000年の東京ビジョンの中に入りました。あとは誰が、どんな形でどこに上げて、どこの分はどうするかとか、具体的に進めなければいけません。いずれにしてもハードウェアはあまり興味がないかもしれませんが、都心、副都心を結ぶライフラインをつくり、日常においても都市計画に寄与するような、しかも経済的には確実に採算が合うこのプロジェクトをできないかということです。

まず骨格づくりです。オスマンのパリ大改造計画の1880年代から20年ぐらいのプロジェクトは大変有名ですが、それから50年が経った1930年代、第2次大戦の起こったころから、パリが近代都市の再生に対して、地下都市計画を立てます。地下利用計画のときに、オスマンのころは下水やシャンゼリゼ通りをつくったとか、墓地を移したとかが有名ですが、実際にはパリの地下都市計画の骨格ができたのは1930年頃です。東京も40〜50年たって、地下のインフラ幹線をどうするか、きちんと検討する必要がある。まず都心、副都心、そして幹線という骨格を、基盤整備からやらないといけないのではないか。

 

ドミノ災害の防止拠点

 

第2点からは、本来あるべき姿ということです。

 

 

 

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