ここでもう一回ITというものを振り返ると、ITとはインフォメーション・テクノロジー、情報のことを言いますが、情報という漢字をよく考えると、情けを報告するとあります。ですからTCP/IPがどうとか、インターネットがどうではなくて、楽しいとか、気持ちいいとかいう感じをいかに相手に伝えるかということが情報本来の意味です。インフォメーションという英語は、かの文豪、森鴎外先生が情報と訳したわけですが、この文豪が訳したように、情けを報告する。この情けを報告するということに関しては、多くの意味で世界共通のことも大変多くあります。それは近代社会がもたらした世界的な道徳心であったりとか、人を殺してはいけないとかという人間の生理的本能であったりいろいろありますが、これを世界共通のものとしてお互いが情報を交換し合う。すなわち日本的マンガを届けると同時に、海外のマンガを日本にもたらすことによって、新しい日本のマンガというものが生まれると僕は思うのです。アニメでもいいですが。我々はどうも日本のマンガを海外に出すこと、出すことばかり考えていますが、そうではなくて、矢印は両方であり、情けを報告し、交換し合わなければいけないのですから、いかに日本のアニメを出すかではなくて、いかに日本のアニメを出すのと同時に、海外のアニメやマンガを日本に入れて根づかせるかということを並行してやることが、文化侵略につながらず、結果新しい日本のアニメにつながると僕は思っています。以上です。
牧野 日下さん、いかがですか。
日下 高城さんは天才ではないかを思いました。そんな方にいろいろ言う力は私にはありません。まだまだ質問させていただきたいことはあるのですが、また今度やりましょう。一つ例として、パロディーのおもしろさ。人間は皆パロディーをおもしろがる。そっくりさんがいい例です。それがマンガの命かどうかわかりませんが、大きな要素だと思っていて、そのパロディーに関して日本人は他の民族よりも上をいっているのではないでしょうか。酒落がわかるとか、何かその辺についてもお聞きしたかったのですが、また今度教えてください。
牧野 そうですね。まだ最後には大きなフォーラムを計画しておりますので、また時間があったらぜひご意見をお聞かせいただきたいと思います。今日は大変長時間になりましたが、皆さんありがとうございました。
(了)