次に、先ほどコンピュータのスピードですとか情報処理能力で、声というのを今回選ばれているわけなんですが、基本的に人が認知するのには視覚が大半という中で何で声を選ばれたのでしょうか。
最後に、生理データというんですか、こちらは心拍数のみのデータでつくられているのかという質問です。いわゆるGSRと言いましたけれどもいろいろあると思うのですが。
土佐 まずその定義なんですが、意識と無意識の定義は、これは別に私が定義してどうのこうのという話ではなくて、いわゆる精神分析の中のユングという人がいまして、この人が定義したような定義をそのまま、私、それに共感をしたので定義しています。
意識の軸と無意識の軸のモデルをつくったのはなぜかといいますと、その前の作品に由来するんですが、コンピュータに感情を教えるというときには、何かシンボルをつくらなきゃいけないんですね。みんなラベルづけしてあげなきゃいけないわけです。そうすると、そのラベルづけした領域から漏れるものもあるわけなんですね。この漏れるものをコンピュータがわからないんですね。コンピュータは赤といったら1から10まで。11はもうだめという感じなんです。黄色といったら20から30。31はだめという漏れた部分をどうやって補完していくかというところから考えたわけです。要するに、我々の感情はここからここまでと言えるものではありませんし、顔で笑って心で泣いてみたいな複合感情は、もちろん日本人のほうが欧米人よりも複雑なのかもしれませんが、そういうものを持ちます。それをどう対処していこうかなと思ったときに、何とか無意識情報を取り入れることによって何か解決するかなということで、これしかないなと思って始めたんです。
その定義の仕方というのは、別に私がここからここまでと定義したわけではなく、そういう他のジャンルの定義、既に定まっているものを利用しています。その定義をもとにして軸をつくりまして、私がつくったものから考えれば、意識情報というのは絵の情報なんですが、それは手とか人間のジェスチャーだとか、何をしゃべるかという言葉というのは、人間がかなり意識的に嘘をつくことができる情報だと思うんですよ。