Scholarship Division
奨学事業部
1999年度 活動報告
文化や価値観を異にする人々が、互いの独自性を尊重しながらも地球社会の利益のために共生するためには、その多様化する国際社会の形成に貢献できる人材が必要とされています。
奨学事業部は、この重要なニーズに着目し、国際感覚にあふれ、異なる価値観を尊重し、様々な要求に対処できる柔軟な考えを持つ人材の育成を、その使命としています。
具体的には、人文社会科学および運輸・海事分野の大学院修学を目的とする奨学金や各種奨励金プログラムを提供しています。これは単に専門知識の習得や経験の蓄積にとどまらず、世界の諸問題に対する深い洞察力と果敢な行動力を持ち、政治や宗教の相違、あるいは地理的境界を超え共通の利害のために貢献する人材の育成を目指すものです。
なかでも、「ヤングリーダー奨学基金(SYLFF)プログラム」は、日本財団との共同事業で、1987年にプログラムが発足して以来、世界40カ国61高等教育機関にこの基金が寄贈されています。各校では、特定の国あるいは地域など地理的に焦点を絞った学問ではなく、国際的な視野に立ち、既存の学問領域にとらわれない多角的・総合的なアプローチで学際的なテーマに焦点を絞った基金プログラムが運営されています
今年度は、慶應義塾大学(政策・メディア研究科)に61番目の基金が寄贈されました。これによりSYLFFネットワークに日本が加わり、傘下の大学は79を数え、奨学生の総数は7,500名に達しました。このネットワークの強化を目的として、1997年度より3年間にわたり「SYLFF運営担当者研修プログラム」を実施していますが、これは、SYLFF設置機関で奨学金の運営に携わる職員を4週間ニューヨークとワシントンに招聘して、奨学金事業の運営や国際教育交流に関する研修を行うもので、この世界的奨学基金ネットワークの基盤整備の役割を果たしています。
「日本語教育基金(NFFJLE)プログラム」では、6カ国8大学において、日本語教員の養成を中心としてプログラムが実施されています。
運輸・海事分野の主要事業である「世界海事大学(WMU)奨学金」においては、学生定員の4分の1にあたる約50名に奨学金を支給し、同大学に対する最大の奨学金提供団体として多大な貢献をしました。
これら人材の輩出を可能とするために、大学教職員を対象とする交流・研修プログラムも世界的規模で実施しています。1998年度より開始された「教員の海外派遣プログラム」は、日本の大学教員が海外の大学において、一定期間、人文社会科学分野の講義を日本語以外の言語で担当する活動を支援するプログラムです。その成果が日本の大学、留学生を含む学生のために多いに活用されることが期待されます。