日本財団 図書館


このような利用頻度の低い機械をすべての事業者が保有するのではなく、相互に融通使用し合うようにすれば、コストダウンにつながると考えられる。

大阪港における共同化の効果の例として沖荷役の減少を契機とした通船の共同化がある。これは、従来各社が保有していた通船(13隻)を2隻に集約し、共同使用するものであり、大幅なコスト削減となる(通船1隻の運営コストは約1,000〜1,500万円)。また、ブルドーザー等の荷役機械の共同使用(神戸港で行われている保有会社から一時的にリースする方式)を検討したが実現には至っていない。

次に、荷さばき施設の共同利用については、荷役機械の共同利用よりも問題点が多い。

港湾運送専業者は、元請事業者の委託を受けて、元請が保有する施設等を中心に作業を行っていることが多いことから、荷さばき場を共同で使用するに当たっては、共同使用による荷役の効率化に対する元請事業者の理解が必要である。また、元請事業者が荷さばき場の共同使用に関する作業管理を行うとともに、元請自身の業務の効率化を図っていくことが求められる。

 

2) コンテナターミナル・オペレーターへの進出の効果

わが国の港湾運送事業者の将来の望ましい姿のひとつとして、運輸政策審議会の答申では次のような事業者イメージがあがっている。

 

船社、荷主からの求めに応じて単に労務を供給するということではなく、競争原理のもと自らの責任において、リスクを負担しながらビジネス(ターミナルオペレーター業等)を行う事業者

 

さらに答申では、このような規模の大きい港湾運送事業者(ターミナルオペレーター)が増加することにより、波動性を企業内で吸収し、船社、荷主とバランスのとれた関係を構築できることから、欧米や東アジアの主要港に対し、コストとサービス面で比肩しうる港湾運送の体制がとれると述べている。

大阪港の港湾運送事業者の中には、公共ターミナルにおいてターミナルオペレーターとしての作業を行う事業者はあるが、公社ターミナルを借り受けて上記ターミナルオペレーター業を行う事業者は1社だけである。アンケートでは、ターミナルオペレーターへの進出意向を示す事業者は少なく、進出意向のある事業者でも1社単独よりも他の事業者との共同進出の意向が多い。他港の事例を見ても共同での借受、運営が主流となっているが、いずれの形態にしろ港湾運送事業者が公社(専用)コンテナターミナルを借り受け、そこでターミナルオペレーターとして業務を行うことによって以下のような効果が生じると考えられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION