更に、中国は、こうした人道問題に関しては国際ルールが現在転換点にあると認識しており、中国としては、この問題がどのように国際法の中で扱われていくのか注意深く見守って行きたいと述べた。また、このような問題に対し中国は独自の方法をとること、米国の圧倒的な覇権については否定する考えを示した。一方、信頼感醸成や東アジアの安定に向けて、東アジアの安全保障理事会の創設が必要であるとの見解を示した。日本との関係については、日中協力の仕組み作りが重要であるとの見解を示した。
第3番目の発表者として、キム・ビョンギ韓国高麗大学教授が報告を行った。冒頭キム教授はコソヴォにおけるハイテク兵器に関して、これが中国やロシアにショックを与え、地域の軍事バランスを変化させる要因として作用しているとの認識を示した。また東アジア全般に関しては、この地域のヘゲモニーは米国によってもたらされており、韓国の関与は限定されると述べ、人道的介入に際して韓国が果たす役割としては、衛生兵派遣のようなものになるかもしれないとの考えを示した。
またキム教授は、北朝鮮の状況について、北朝鮮での難民の発生に触れ、女性の売買等人道的な問題が発生していることを指摘し、北朝鮮が安定しないとこのような問題は解決せず、北朝鮮の混乱は、ロシア・中国にとっても問題となると指摘した。経済問題が結局安全保障問題となるとの認識の下、北朝鮮での難民の発生・アングラ経済の存在には注意が必要であるとした上で、経済特区を設ける等、経済的に問題を解決することが考えられるとして報告を終えた。
以上3氏の報告を踏まえ、質疑応答が行なわれ、北朝鮮での六者会談に関する中国の見方、中国における人道的介入に対する一般的な見方、軍事的役割を欠く日本がこの問題に果たす役割等について議論がなされた。