このため1997年10月、IUATLDはこの中心となって献身的に働いたNTC所長Dr.TsogtにPublic Health Awardを授与し、モンゴルが挙げた成果を世界の結核専門家がこぞって祝福した。
3) 第3回全国結核セミナー
95年以後次々とモンゴルのNTCから熱心な医師、細菌検査技師が結核研究所の国際研修コースに参加し、両国の理解、協力はますます強くなっていった。さらに、モンゴルは東欧、中央アジアの国々のモデルと言われるようになり、これを強力に支えているのは日本であることが広く知られるようになると、われわれの関心も強くなり、国際学会などでDr.Tsogtと一緒になる度に意見を交換した。このような時、モンゴルの結核対策を強化するために、結核対策の予算、担当官の人事権などを持っている各県の知事の参加をお願いしてセミナーを開催したいと言う要望がDr.Tsogtから提出されてきた。
1つの国のセミナーを3回も支援し、要望が出されている他国の要請を受けないことに多少の抵抗感はあったが、全国の知事の理解を得ることの重要性はよく理解出来ることなので、1999年8月に第3回目の全国結核セミナーを後援して実施することとし、再び日本財団の支援をお願いした。このセミナーでは政治的な配慮も必要なので、結核予防会会長(当時)の島尾忠男を団長とする講師団を派遣した。こうして他の途上国ではなかなか実施できない全国の知事の参加を得たセミナーが成功裏に実施されたのである。
4) 今回(策4回)の全国結核セミナー
結核予防会では、JICAプロジェクトヘの積極的参加などによって、ネパール、フィリッピン、イエメン、カンボジア、ソロモンなどなど多くの発展途上国の結核対策の改善に大きく寄与してきた。しかし、結核予防会自身が中心となって進めるプロジェクトはあまり多くなく、ネパールのルンビニ地区やインドネシアのジャカルタでのプロジェクトなど、それぞれの国の結核予防会と協力しながらすすめている比較的小規模な協力が主なものであった。National Seminarもいくつかの国で支援しているが単発のものが多かった。
これに対し、モンゴルでは1994年以来継続して全国結核セミナーを支援してきたため、モンゴルの結核対策の進展を継続的に知ることが出来、逆にわれわれの国際協力の評価も出来ると考えられた。さらに、全国的セミナーの支援とは別に、結核研究所は結核対策の基本となる「抗酸菌検査技術」の技術的改善の指導を開始していた。JICAが短期専門化の派遣を認めてくれたこと、NTCから菌検査担当の医師、技術者が結核研究所の研修に4人参加していたことなどもあり、抗酸菌検査の分野でも見るべき成果が得られていると報告されていた。また、結核対策コースに参加した医師も6人にのぼり、人的交流も盛んになっていた。
次々と新しい国に出かけてセミナーを開催することも重要であろうが、モンゴルのように旧ソ連圏のモデルと言われ、世界が注目している国で、日本の協力が如何に実を結んでいるか、Success Storyを示して、世界に日本のプレゼンスを示すことも重要である。
このような考えから、2000年8月にはモンゴルでの第4回目のセミナーを支援することを計画したわけである。