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(C) 調査対象海域において採水した試験海水から得た濃縮画分の細胞に対する毒性・障害性の検定

 

【実験方法】

本節では2カ所の調査対象海域から採水した試験海水をC18カートリッジカラムに通して化学物質を分離・濃縮し、この試料のNRK細胞に対する毒性・障害性を検証する。

実験方法を詳述する。2つの調査場所、石巻工業港・大手埠頭と舞根研究センター前の岸壁からバケツを用いてなるべく表層水だけが入るように汲んだ海水をSep-Pak C18カートリッジカラム(ウォーターズ)に通す前に、孔径0.5μmのガラス繊維濾紙で濾過した。この操作を行った意味は、実際の沿岸海水では浮遊生物をはじめとして様々な有機懸濁物、あるいは粒子状物質が含まれていて、そのままカラムを通すと詰まってしまうからである。そこで、C18カートリッジカラムを通す前にこれらの物質を取り除く必要があった。他の種類の濾紙ではなく、ガラス繊維濾紙を選んだ理由は、今回の研究で対象とした類いの化学物質はガラス質に吸着しにくい性質を有するとされているので、濾過の過程でのロスをできるだけ少なくしたいと考えたからである。

次の段階で、Sep-Pak C18カートリッジカラムに試料を通した。ここでは試料を流速が重要であり、今回は毎分5mLで行ったが、毎分10mL以上の流速にすると化学物質が吸着しきれずにリークする量が明らかに増加した。従って、全量をカラムに通すのに時間はかかるが、できるだけゆっくりとした流速を設定することが望ましいことがわかった。今回の研究では一貫してウォーターズ社製のSep-Pak Plus・Long Body型というC18カートリッジカラムを使用した。平成11年度に研究材料とした標品の化学物質を含む人工海水試料では、10Lを通した場合でも化学物質のリークは認められなかった。

 

 

 

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