図7 1972年8月18日〜23日の期間に取られた岩手県水産技術センターの各東西側線での水温断面図(℃):(KR:黒埼ライン、TD:トドが埼ライン、OZ:尾埼ライン、TS:椿島ライン)。図の上に観測点を三角で示すが、黒三角が沿岸定線、白三角が沖合定線である。図の中の黒点は、解析に用いられた測点を示す。300m深の測点の中で、丸で囲ったものは、そこでm+9σ以上の高温水(図5)が見出されたことを示す。
これらの断面図から分かるように、黒潮系暖水は、4つの東西観測線の全てに認められる。また、暖水の構造は深く、少なくとも数百mに達している。このことは、m+9σを超えるような、あまり変質を受けていない黒潮水が三陸沿岸域に侵入する現象は、黒潮の北上にせよ、大暖水塊の接近にせよ、かなり大規模であることが分かる。恐らく、通常の海況で、大規模現象に付随しなければ、黒潮水がこの海域にもたらされる前に、かなりの変質を受けることを示しているのであろう。