2-2. 北太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際研究
(1997年度〜、科学技術庁科学技術振興調整費)
北太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際研究(SAGE)は、その第I期が平成9年度から3年間、第II期が平成12年度から2年間実施されている。MIRCはこのプロジェクトに参加し、第I期においては「精度海洋データ整備のための品質管理手法の研究」を行ってきた。この研究では、歴史データの発掘作業として、JODCに未収録の亜寒帯海域のデータを収集し、品質チェックを行ってデータベース化した。このようにして拡充されたデータベースを用い、三陸沿岸域での水温・塩分値の生起頻度等の統計、海況特性の調査研究を行い、亜寒帯域を対象とした高度の品質管理手法を開発した。また、このプロジェクトに参加している各機関が生産する海洋データでJODCに送られてきたものについて、品質チェックを行うと共に、メタデータを収集・整理し、これらの成果をJODCに送付した。
第II期においては、「データベースの構築等に関する研究」および「表層循環変動と吹送流評価に関する解析研究」をMIRCは分担している。前者については、JODCに未収録の歴史的データおよびプロジェクトで新しく得られたデータの収集、データの品質チェック、メタデータの付加作業等の作業を第I期に引き続いて行っている。高度の品質管理手法の開発については、さらに拡充された資料の統計を基に他の亜寒帯域に広げつつある。後者については、海上保安庁水路部の実施する漂流ブイを用いた表層流循環変動に関する研究を補完するため、亜寒帯域でのADCPデータを収集し、整理を行っている。また、亜寒帯域では吹送流を除去して海流場の変動を論ずる必要があり、洋上風の解析を合わせ行っている。研究の一部、洋上風の解析と観測データから吹送流成分の分離に関する研究は、東京大学海洋研究所に委託している。
2-3. 「海洋中の二酸化炭素データの管理システムに関する調査研究」
(1998〜2000年度、社団法人全日本トラック協会受託事業)
地球温暖化の最大の原因となる大気中の二酸化炭素の増大動向を正確に知るためには、海洋の二酸化炭素の吸収量とその経年変化を正確に把握することが重要である。1998年度に、社団法人全日本トラック協会の受託事業「二酸化炭素の実態把握に関する調査研究」を実施したが、その結果これまで得られている研究結果、観測・測定結果が十分に整理・集約されていない実情が明らかになった。そこで、1999年度においても、前年に引き続き社団法人全日本トラック協会の受託事業「海洋中の二酸化炭素データの管理システムに関する調査研究」を実施し、二酸化炭素のデータ管理問題に焦点をあてて、内外の動向を調査するとともに、国立環境研究所等の幾つかのプロジェクトで得られるデータの収集・管理およびメタデータの作成について検討を行い、実際にも若干の観測資料の収集を開始した。
