周防灘沿岸の山口宇部空港が冠水によって閉鎖されたり、八代海沿岸では13名もの人が亡くなるという大災害を引き起こしたことは記憶に新しい。この高潮には台風の経路や通過時刻ともに八代海や周防灘の地形が強く関係している。八代海の高潮を例に、高潮と海底地形との関わりについて見ていく。
1. 1999年の台風第18号の概況
図3に台風第18号の経路を示す。9月17日9時にフィリピンの東海上で発生した弱い熱帯低気圧は19日9時に台風となって、しばらく南西諸島付近をゆっくり北上しながら発達し、22日21時に中心気圧は930hPaまで低下し、24日3時頃に鹿児島県下甑島付近を通過、5時頃には天草諸島を通過し、6時頃中心気圧950hPaという強い勢力を保ったまま熊本県北部に上陸した。台風は九州北部を通過して一旦周防灘に抜け、24日9時前に山口県宇部市付近に再上陸した。その後次第に勢力を弱めつつ中国地方西部・日本海を通って北海道へ再上陸し、25日12時には温帯低気圧となった。
台風第18号の接近・通過に伴い、南西諸島や九州・中国地方では平均風速30m/s以上の暴風が観測され、台風が接近した時には40m/s以上の風を記録したところも多かった。特に、熊本県の牛深測候所では24日3時17分に観測統計史上第1位となる最大瞬間風速66.2m/sを観測したほか、鹿児島県下甑島の鹿島村役場では24日3時42分に83.9m/sという驚異的な最大瞬間風速を観測した。