3. 波源の位置がちがっていたら特異点は移動するか?
北海道南西沖地震の津波の際には、初松前に津波のエネルギーが集中した理由は数値計算によって検証されたが、それでは波源が、今回の津波とは異なる位置であったら、全く別の場所に焦点を結ぶことになるのであろうか?
この点を明らかにするために、奥尻島の南端沖海域に、西方から津波が押し寄せてきたときの、津波の進行線(幾何光学の光線に相当する)を描いてみた。進入方向は、真北から東方向66度、76度、90度(真東向き)の3通りの異なる方向からとした。結果は図7の通りで、津波の入社方向角が多少かわっても、島の最南端背後のほとんど同じ点に津波伝播線が焦点を結び、特異点の位置はほとんど変わらない。そしてその位置が、初松前の位置に当たっている。