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(4) 測量船の高さ精度の検証

高さ精度の検証のため、験潮を行った播磨灘、安芸灘、周防灘の3海域において第五、第六、第七管区海上保安本部水路部のご協力により測量を行い、K-GPS測位データを収集し、シングルビーム測深を行った。

測線クロスポイントでの整合性を評価するため、測量船の高さ、水深ともに潮高補正を行い、測線クロスポイントでの整合性の評価を行った。

また、測量船の高さと基本水準面高低モデルの比較から、作成した基本水準面高低モデルに対する検証を加えた。これにより、安芸灘において実測値とモデルの間に大きな較差が認められた。播磨灘実験海域近傍の飾磨と赤穂において、精密基本水準面の実測値とモデルの差が、それぞれ-3cmと-8cmであった。この結果を見ると、実測値とモデルとはほぼ一致している。また、海域実験の結果とも概ね一致する。

一方、安芸灘実験海域の実測値とモデルの差は海域近傍の菊間においては88cm、広では、43cmと大きく、実測値とモデルに較差がある。この較差は、海域実験の結果である40cmと近い値であり、特に安芸灘海域においては基本水準高低モデルの修正が必要であると考えられる。

なお、安芸灘に関しては再解析を行い、周防灘に関しては現在解析中である。

 

これらから得られた知見は下の通りである。

(A) 従来から水路部で用いられているZ0区分帯と今回の観測結果をもとにした精密Z0では、燧灘付近で形状が異なり、また、鳴門海峡、関門海峡、来島海峡などの狭窄部において形状が異なっている。

(B) 測線クロスポイントにおいて数センチから10数センチの楕円体高の相違が見られた。これらの要因として考えられることは、船体の動揺、喫水の変化、クロスポイントで得られたGPSデータの計算に使用した衛星が同一の衛星グループになっていなかったなどが挙げられる。

(C) 潮汐及び基本水準面に関するデータは、結果のデータベース化を行うだけでなく、モデルの構築が完成すれば必要な地域を直接計算することができる。

(D) 基本水準面高低モデルのデータベースは、データ量が膨大であることから、将来GPSによる直接水深測量を実施できる環境が整備された場合に、利用する地域によっては、データベースを検索しながらからデータを取得するよりも、測定ポイントにおける直接計算を行う方が便利な場合があることが想定される。

 

 

 

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