b) 回収作業および回収方法
設置位置の潮汐、潮流の変化を潮汐表等から検討し、潮流が1ノット以下となる時刻に作業を行った。現地における作業時間は、いずれの場所も約1時間であった。
設置した地点にDGPSを用いて船を誘導し、当該地点に到着後、ダイバーにより海底を探査し、ロープを験潮器に取り付けた。ロープが験潮器に取り付けられたことを確認した後、船上からロープを巻き上げ、機器の回収を実施した。機器の引き上げは、験潮器、架台の順に引き上げた。架台および錘等もすべて引き上げたため、回収後は、海底には何も残していない。
c) 設置、回収時の水温
験潮器設置、回収時の水温を表14に示す。なお、周防灘においては、設置及び回収時に、水深約2mの位置での水温を測定した。験潮器設置位置近傍の気象庁提供の気温データを参考値として示す。
C) データ処理
a) 大気圧補正
海底設置したWLR7型は、設置位置における絶対圧力を測定するため、実際の水位を求めるためには、潮汐観測地点での大気圧を用いて補正しなければならない。しかし験潮器設置地点の海面上の気圧は測定器類を海面上に設置していないため連続同時観測をすることができない。そこで、潮汐観測地点周辺の気圧測定地点のデータをもとに設置点における海面気圧を推定し、この値から気圧補正を行い海面上の高さを算出することとした。
推定した海面気圧は、気象庁の各気象台、及び測候所により観測された現地気圧データから標高0mの気圧を算出した海面気圧データを用いた。
設置位置の海面気圧は、気圧測定地点から設置位置までの距離を求め、距離に比例した気圧勾配を推定し算出した。各気象台、測候所における海面気圧は、1時間毎のデータであるため、内挿により10分毎の験潮器設置位置における海面気圧データを作成した。内挿方法は、直線補完法を用いた。
気圧補正に使用した播磨灘、周防灘付近の気象台、及び測候所を表15に記す。